福岡の無電柱化をリードする建設企業 持続可能なまちへの道のり
-
熊川工業(株)
無電柱化を主力事業に
実績に裏付けられたたしかな力を発揮一見変わらないように見える街並みは、時代に合わせ刻一刻と変化している。「無電柱化」は今の時代の変化を象徴するものといえるだろう。この取り組みによって、街中の景観が徐々に変わりつつある。空を見上げればかつて視界に入っていた電線と電柱が姿を消し、開放感のある美しい景観が形成されている。電線共同溝方式による無電柱化では、従来は地上にあった電柱や電線を地下の空間に収容する。景観のためだけではなく、防災性や安全性の向上も目的として工事は進められている。
熊川工業(株)は、この無電柱化にともなう電線共同溝工事事業を主力に、舗装工事や電気工事など、幅広い業務を手がけている建設業者だ。同社は1995年8月に熊川新治氏によって設立されて以来、地域社会に密着した経営方針を追求してきた。2012年からは新治氏の長男である熊川大祐氏が代表取締役を務め、九州・福岡を中心に事業を展開している。近年では、博多駅前線歩道舗装工事(その2)、令和4年度福岡国道管内舗装修繕工事、九大箱崎南地区都市計画道路築造その他工事など、インフラから公共施設まで幅広く手がけている。このように施工実績を積み重ねていくことで、たしかな受注基盤を形成してきた。
また、同社は22年度だけでもさまざまな機関から表彰を受けている。国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所から優秀施工業者、福岡市役所から工事成績優良業者として表彰を受け、西日本高速道路(株)からは安全管理と品質管理、2つの分野で優秀賞を受賞している。このように安全かつ高水準なサービスを提供できることを示し、競争力を培ってきた。その結果として、福岡空港の滑走路整備、新春吉橋における迂回路橋の舗装工事、福岡202号春吉地区舗装工事など、多様な現場で活躍の機会を得ている。いくつもの大型工事に携わっていることは、同社の業績が好調である要因の1つだ。このことについて熊川大祐氏は、「今まで社員とともにチャレンジを続けてきた結果だと思います」と自信に満ちた表情で語ってくれた。
コロナ禍でも欠かさなかった社員との交流
全員が快適な環境で働けるように同社は先代の熊川新治氏の時代に電線共同溝工事の事業に乗り出した。先代の出身地である久留米地区を皮切りに、どんどんと施工エリアを拡大させていった。現在、福岡市の幹線道路の無電柱化はほぼ完成しているが、無電柱化は今後も進められていくだろう。現に、国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所は道路プロジェクトとして「福岡市無電柱化推進計画(令和4年3月)」や21~25年度を対象とした「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策」に基づき、整備が進められている。
建設業界では人手不足や若者離れが深刻な問題となっている。いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが根強く、募集をかけても応募がないと嘆く声も多い。そのようななか、同社は全社員が快適に働くことができる環境を整えるため、積極的に働き方改革を推進してきた。熊川社長はこれからも無電柱化を施す電線共同溝工事事業を主軸に据えていくために、持続的な組織体制の確立を目指している。そのためには技術をもった社員たちが欠かせない。
社員とは「まるで家族のような関係を築いてきた」という熊川社長。食事会や研修旅行を通し、社内でのコミュニケーションの機会を積極的に設けていた。しかし、新型コロナの流行が始まって以降、直接的な交流の機会は制限されてしまっていた。現在、新型コロナも5類に引き下げられ、感染状況が落ち着いてきた。同社はできる限り早くコロナ禍以前のようなイベントや会合を再開し、会社全体の団結力を高めていく予定だという。
熊川社長は自社の社員のみにとどまらず、関連会社に勤めている100名近い社員の労働環境の改善に努めている。たとえば、同社はグループ企業の(株)センター機材のオフィスを全面的にリフォームした。センター機材はアスファルト・コンクリート舗装の切断、切断による構造物(建物・橋梁等)の解体を行っている会社だ。M&Aにともない、経営陣も刷新された。以前は松尾建設(株)で専務を務めていた河崎信一氏が代表取締役に就任し、彼を中心に社内改革を進めている。その一環として、オフィスの改装を行い、社内の雰囲気を一新、企業イメージの向上を実現させたのだ。
新たに進めている建築資材の開発
初めての展示会で感じた手応え熊川社長が行っている新たな取り組みがある。それは、新しい技術を用いた建築資材の販売だ。舗装に用いる木製のブロックの製造・販売を行っているリソースフォレスト(株)は14年11月に設立された。ここで製造されているブロックは、従来、主にバイオマス発電などで燃やされていた間伐材等の未利用材を100%使用しており、二酸化炭素の固定を実現した製品である。加えて、リサイクル性にも優れており、20年に福岡県認定リサイクル製品にも登録されている。木の性質から日射熱や紫外線の反射を抑える効果があり、ヒートアイランド現象の抑制も期待される。弾力性や衝撃吸収性にも優れており、歩行者の膝の負担を軽減することもできる。まさしく人にも環境にも優しい資材といえる。21年には新技術として、NETISと呼ばれる国土交通省が運営するデータベースに登録された。
昨年までは実用化に向け研究開発を行い、試行錯誤を重ねてきたが、ついに今年2月、東京ビッグサイトで行われた展示会に出展。熊川社長は今後の展望として、「関東、関西の企業やゼネコンの方々にも興味をもっていただけた。今後、業務提携などにつなげていきたい」と述べた。すでに本年10月に国際展示場で開催予定の第2回環境に配慮した持続可能な建設技術に関する国際会議に出店する予定になっている。
無電柱化と舗装を軸に、事業の幅を広げつつある同社。そこには、常に人と自然への優しさが根底にある。成長し続ける同社の人々と技術が、豊かなまちづくりへの道を切り拓いていく。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:熊川 大祐
所在地:福岡市東区水谷3-26-20
設 立:1995年8月
資本金:2,000万円
TEL:092-672-8867
URL:https://www.kumagawa-k.co.jp<RECRUIT>
[募集職種]
土木施工管理技士、電気施工管理技士(新卒)
[応募資格]
土木・電気・機械系の学科
[募集職種]
土木施工管理技士、電気施工管理技士、水道施工管理技士、機械オペレーター(中途)
[応募資格]
高卒以上、技術職は土木・舗装・電気・水道のいずれかの経験と資格を保有する方、機械オペレーターは学歴不問
※要普通自動車免許(中途)
[採用予定]
若干名
[問い合わせ先]
092-672-8867
<プロフィール>
熊川 大祐(くまがわ・だいすけ)
1976年12月生まれ。北九州大学(現・北九州市立大学)法学部卒業。卒業後は日本乾溜工業(株)に就職し、4年間あらゆる物づくりを経験。その後、2003年に熊川工業(株)に入社し、12年に代表取締役に就任。法人名
関連キーワード
関連記事
2024年11月20日 12:302024年11月11日 13:002024年11月1日 10:172024年11月21日 13:002024年11月14日 10:252024年10月30日 12:002024年11月18日 18:02
最近の人気記事
おすすめ記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す