本当に価値あるものを顧客に提供する 今夏海外進出、ハワイ店をオープン
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(株)ジェムキャッスルゆきざき
変化する金融資産のポートフォリオ
コロナがターニングポイントに(株)ジェムキャッスルゆきざきは1978年に柚木崎政秋代表取締役会長が福岡県那珂川町(現・那珂川市)で創業し、86年に設立された。本店は福岡市天神にある「岩田屋」の向かいに建ち、大理石がふんだんに使用された美しい外観がひときわ目を惹く。グループ全体で全国に21店舗を展開している(2023年3月時点)。国内最大級の在庫点数と品ぞろえを誇り、同業他社にはない商品を多数扱っている。品ぞろえは「売る力」に支えられ、これがあるところに良い品は集まるという鉄則がある。顧客にも、取引先にも、利益が循環する取引を基本としている。
22年3月期の売上高は230億円で、コロナ禍でも好調だ。同社はもともと売上高に占めるインバウンド比率は3%程度、約6億円であり、コロナ前後で大きな違いはないという。しかし現代表取締役社長・柚木崎政和氏は、「コロナは、時計と宝石が金融資産として完全に認められる、ターニングポイントになりました」という。
ここ数年で金融資産のポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)が確実に変わったといわれている。時計や宝石はもともと「贅沢品」の扱いだったが、今や、預貯金、株式、債権、投資信託など同様の扱いになった。そのため購入額も上がり、好きな人だけが買うものではなくなった。ネット販売から二次流通まで整い、どこの国でも売買可能であり、即時の購入が可能で、現金化もいつでもできる。資産価値も安定している。さらに、本人の好みのものを選ぶ楽しみがあるのだ。
「たとえば、『金』は昔から人気ですが、重くて移動させにくく、保管場所も必要です。しかし、時計や宝石、ダイヤなどは資産価値があるのみならず、軽いので身に付けることで簡単に運べます。そしてフアッションとしても楽しめることから、需要が上がっているのです」と柚木崎社長。ハイブランドのショップでは欠品が蔓延しているといい、確実な変化が起きている。
人の行く裏に道あり花の山
ピンチをチャンスに変える視点と思考同社の事業拡大は、社訓の1つである「人の行く裏に道あり花の山」が導いているという。これは、投資用語としてよく引用される言葉で、茶人である千利休が詠んだ句に由来するともいわれている。「人と同じことをやっていても、ダメだということです。今までのさまざまな苦境も、この社訓通りに乗り越えてきました」と柚木崎社長は語る。
08年のリーマン・ショックのときに同社は福岡から東京銀座に出店した。資金や人材などあらゆるものが十分ではなかったが、大多数の企業が撤退するときだからこそ、絶好のチャンスだと踏んだのだ。店舗の近隣には、大手百貨店や老舗の宝石店が軒を連ねていることから、それらが閉店となる午後8時以降の時間帯を狙い、クローズを午前3時にした(現在は午前2時)。銀座は夜も賑わうが、ピークは午前0時ごろ。百貨店や宝石店は閉まっているがゆきざきは開いている、となると、最初こそ怪しがられるものの、しばらくすると逆に「なくてはならない存在」として認識されるようになった。売上は順調に上がり、新宿、六本木にも出店した。これは05年に福岡の中洲ですでに結果を出していた戦略でもあった。
長引くコロナ禍でも、この社訓と経験に従って、店舗の撤退や縮小はしていない。むしろ名古屋や神戸に新店舗をオープンし、東京で自社ビルを購入するなど、次の展開に向けた先行投資を続けてきた。
真のワークライフバランスとは
人生100年時代を楽しく生きるために柚木崎社長は、現代のワークライフバランスという言葉は、将来的に若者を苦しめるのではないかと危惧している。人生100年時代には、若い時の仕事の取り組み方が非常に大事だからである。
「何も、無理して働けということではありません。限られた時間と環境下で、頭を使って精一杯やるということです。当社は有給取得率100%ですし、労働環境は整っています。私自身、50代となりましたが、生き生きと楽しそうに生活している同世代は皆、若い時にがむしゃらに働いていました。晩年になってから人生を大きく変えることは難しいです。中途半端な仕事をすると人生の後半がきつくなります。自分の未来のためにも若者には頑張ってほしいですね」と語る。日本の人口減は止まらず、平均寿命は伸び、高齢化が進んでいる。定年が70歳まで伸びることも予測されているなか、仕事に向き合う姿勢は、人生と本気で向き合うことにつながるといえよう。柚木崎社長自身は、常にエネルギッシュで明るく、新入社員研修で新入社員とともに30kmウォークをこなしている。
社員は約330名で、23年の新規採用者は16名。教育に力を入れ、接客レベルは非常に高いという。野球選手や芸能人、経営者も来店するので、富裕層ビジネスができるビジネスマンが育つ会社でもある。一生でもなかなか見る機会がないような品を目にすることもでき、宝石や時計が好きな人はとくに、楽しみながら働ける環境といえよう。
今後はアンティーク市場の拡大を見越して、ワイン、絵画、車なども扱う予定としている。世界的に富裕層が増加しており、たとえば数十年後にはインドや南アフリカの占める割合が高くなる見込みだ。良いものを求める人はますます増えることが予想され、富裕層同士をマッチングさせる事業も計画しているという。
店舗網の拡大よりも既存店の整備や移転・拡充などに重点を置いているが、23年は6月に南青山店をオープンしたほか、8月にハワイ店のオープンを予定している。ハワイ店では日本から社員数名を派遣するほか、現地でもスタッフを雇用する予定にしており、これを機に海外志向の強い学生が入社を希望するようになればという狙いもある。同社は売上高を13年50億円、20年124億円、22年234億円と順調に伸ばしてきた。5年後の28年には「売上高300億円」を目標として掲げているが、その達成は間違いないだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:柚木崎 政和
所在地:福岡市中央区天神2-6-14
設 立:1986年10月
資本金:1,000万円
TEL:092-734-0222
URL:https://yukizaki.co.jp<RECRUIT>
募集職種:総合職(営業:ジュエリーコンシェルジュ)
応募資格:短大・専門・高専卒以上
採用実績:2022年度/16人
採用予定:30人
問合せ先:092-734-2975
saiyo@yukizaki.co.jp
採用担当:経営企画室
<プロフィール>
柚木崎 政和(ゆきざき・まさかず)
1973年8月、福岡県出身。関西大学を卒業後、(株)大和証券に入社。2000年4月、(株)ジェムキャッスルゆきざきに入社、01年常務取締役、16年代表取締役社長に就任。法人名
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