2024年11月24日( 日 )

ホスピタリティを不動産開発に落とし込む、開発と運営のプロフェッショナル集団へ

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新榮都市開発(株)

「次代に引き継ぐ義務がある」
自社で長期保有できる開発を

 ALFACIO=アルファシオシリーズの投資用マンションで躍進しているのが、新榮都市開発(株)だ。近年は福岡市内で100戸規模の比較的大型な物件を供給しており、これまで約50棟の投資用マンション開発に関わってきた実績がある。

 同社は設立当初、北九州市小倉北区の商業ビルなどの不動産管理を手がけていた。株主には地元の名士と呼ばれるような錚々たる顔ぶれが並んでいたが、人口減少などを背景に北九州市の繁華街の勢いが低迷したことなどから、ビジネスモデルの転換が図られ、不動産開発へと舵が切られることとなる。

 きっかけとなったのは1994年、金融機関で不動産にも造詣が深い現社長・服部孝司氏の参画だった。服部氏は「企画代行」として不動産開発などで手腕を発揮した。その後、株式の譲り受けにより、2006年に服部氏は株主兼経営者となる。

新榮都市開発(株) 代表取締役社長 服部 孝司氏
新榮都市開発(株)
代表取締役社長 服部 孝司 氏

    服部社長は創業者らへの敬意を込めて、自らを「私は2代目」と話す。「2代目である私には、次代に引き継ぐ義務があると考えています。そのために、経営基盤の強化を図っていかなければならないのです」と続けた。新榮都市開発グループが開発するアルファシオマンションの基本理念は、「自社で長期保有もできるマンション」。金融市場の急変などで開発したマンションの販売が困難となったとしても、自社保有に転換できる物件のみ開発することを重視しているという。

100戸規模のマンション開発も
賃貸需要を捉え完成前に満室へ

 同社の強みは服部社長の企画力だ。「福岡市中心部では地価が高騰しており、収益物件の開発の難易度は上がってきました。もちろん、賃貸ニーズが安定するのは中心部ですので、このエリアでの開発は継続していきます。ただ、周縁部でも企画次第で魅力的な物件をつくることはできます」(服部社長)。

 博多区半道橋に開発した「ALFACIO REVARC(74戸)」(19年10月完成)は、ロードサイド店舗や倉庫、マンションが建ち並ぶエリア特性を見て、周辺と調和するシンプルな外観、大型も収まる36台分のシャッター付きバイクガレージを設け、広めの間取りとした。さらに、多様な用途に対応できるよう、ドレッサーやホールディングテーブルなどの備え付けの収納家具の開発をメーカーと共同で着手。引越し費用や家具購入費用の負担軽減だけでなく、事務所用として利用する場合も、来客に生活感を感じさせない工夫を施した。完成から4年目を迎えたが、バイクガレージ付きという希少性から入居も安定しているようだ。

ALFACIO MILANI(博多区千代1丁目)
ALFACIO MILANI(博多区千代1丁目)

    博多区三筑で今春完成したばかりの「ALFACIO LAVIEST(108戸)」は、45m2以上の間取りが中心のファミリー向けマンションで、敷地の広さを生かして駐車場はほぼ100%を用意。さらに、ウォークインクローゼットはテレワークスペースとしても活用可能な仕様で、室内窓も設けられ、仕事に集中しながら家族の存在を感じられるような配慮が施される。希少なファミリータイプの賃貸マンションだったことから、完成を待たずに9割の入居が進むなど人気物件となっている。

 同じく今春完成した「ALFACIO MILANI(98戸)」は、地下鉄箱崎線・千代県庁口から徒歩6分の単身者向け賃貸マンションで、こちらは入居開始を待たずに満室となった。天神まで最短5分の地下鉄駅や大型商業施設・ブランチ博多に近く、生活利便性の高さが評価された格好だ。

企画力の源泉は「ホスピタリティ」
糸島市ではテラスハウス型ホテルの運営も

 マンション企画について服部社長は、「これからどのように人の流れが変わっていくか、行政のマスタープランに沿って動向を予測し、適切な建物を開発すること。これが、我々に求められる存在価値だと思っています」と言い、次のように続けた。「企画で重要なのは、ホスピタリティだと考えています」。

 新榮都市開発グループは、福岡市中央区や博多区に所有する自社物件で、宿泊施設の運営も手がける。「コロナ禍の影響はあったものの、宿泊需要が回復してからは、高稼働で推移しています」(服部社長)と言う。これらは地価が高騰する前に取得していた物件だったこともあり、コロナ禍を乗り越えることができた。これらの宿泊施設は、利用者の満足度を高めるため、またホスピタリティの向上のため、すべて自社運営としている。

ALFACIO RESORT STAY ITOSHIMA(糸島市二丈鹿家)
ALFACIO RESORT STAY ITOSHIMA
(糸島市二丈鹿家)

    22年10月には、糸島市二丈鹿家に「ALFACIO RESORT STAY ITOSHIMA」を開業した。JR鹿家駅から徒歩で1~2分、国道202号の海側という希少な立地に建つテラスハウス形式のホテルで、その立地を生かしてすべての部屋にオーシャンビューバルコニーが設けられた。

 「福岡市中心部から1時間で感じられる非日常に浸っていただければ」と話す服部社長は、糸島市芥屋でも海が見えるホテルの開発に着手している。服部社長はさらに、「マンションもホテルも、市場から受け入れられるためにはホスピタリティが欠かせないと考えています。そのためにも、ゼネコンや設計事務所などのパートナーの方々からの協力を得て、これからも求められるものをつくっていきたいですね」と結んだ。

ALFACIO RESORT STAY ITOSHIMA(糸島市二丈鹿家)
木造平屋建、5部屋(定員5名)、部屋面積は88m2~73m2
宿泊料金は1泊3万円から

<COMPANY INFORMATION> 
代 表:服部 孝司
所在地:福岡市中央区赤坂2-3-2
    ALFACIO赤坂ビル
設 立:1994年12月
資本金:1,000万円
TEL:092-726-3520
URL:https://www.alfacio.com


<プロフィール> 
服部 孝司
(はっとり・たかし)
1960年1月生まれ。福岡市博多区出身。福岡大学商学部を卒業後、地場の金融機関を経て新榮都市開発(株)に参画。2006年に株式の譲り受けにより、オーナー兼代表取締役に就任した。趣味は絵画。

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