目指すべきは「モノいうねこの手」 工務店の存続を第一に考えITサービスを提供
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(株)ねこ
映像は文字をはるかに凌駕
住宅の情景まで再現し、訴求力を高める「New Era is Coming Over(新しい時代がやってくる)」。主力であるCG制作を強みに、まさに次世代の住宅関連の営業手法を提案するのが、2021年9月よりスタートした(株)ねこ。もともとは(株)栄住産業のCG制作部門として、13年に発足させたフィリピンのIT事業法人とともに中小の工務店向けの建築パース制作を行っていたが、栄住産業がM&Aとなったことで独立したかたちだ。同社は工務店とフィリピン法人をつなぐ「橋渡し役」として、依頼人である工務店の要望を取りまとめ、フィリピン法人に発注している。いわゆるブースター的役割だ。
「もし、郊外にある高級住宅を売りたい時、あなたは何を売りにしますか?多くの人は『その建物がどうすばらしいか』を相手に伝えることに注力するのではないでしょうか。しかし、私どもが考える売りは『その建物とともに過ごす景観のすべて』だと考えています」と原口潤也氏は語る。
そんな同社の強みは、三寒四温、花朝月夕をその目で体験することができる「バーチャル展示場」にある。3D画像で完成後の外観や内装を提示する企業は、いまや大多数を占める。同社の制作する4D映像では、季節ごとの情景、日が昇って沈むまで、そして環境音などが再現されることで、実際に住んだ時の感覚を想像することができるのだ。
同社の素晴らしさは、つくり出されるコンテンツの精巧さに見合わないほどの作業のスピードにも表れている。約70人の技術者が在籍するフィリピン法人では、通常1カ月ほどかかる動画を、2〜3週間ほどでつくり上げることができる。そうして迅速・丁寧に出来上がった動画だが、国内の市場価格の半値以下というから驚きだ。
顧客である工務店の要望を咀嚼するねこ、想いを理解し的確に制作をするフィリピン法人。双方の歯車がかみ合うからこそ成せる技と言っても過言ではない。そして、決して容易くないはずのサービス提供形態を実現できるのは、栄住産業から引き継いだ「工務店のお役立ち」の精神が、確かに生き続けている結果なのだろう。
多方面から企業をバックアップ
「工務店のお役立ち」としての役割を住宅業界における店舗の在り方は変遷を遂げており、近年は実店舗やギャラリーを構えないことを選択する企業も多いそうだ。「ひと昔前までの顧客は、10社ほどまでメドをつけ、そこから自らがモデルルームや店舗に足を運ぶなどして最終的な1社を決定していました。しかし、情報社会への移行により、現在はネット上の情報などから最終候補の2~3社まで絞ってしまうことが大半です」(原口氏)。そうなると最も重要になるのが「ネットのみでどれだけ訴求力のある、より実感に近い情報を提示できるか」となる。
そこで、よりリアルなデジタルコンテンツを、広告としてだけではなく、そのまま段階が進めば、仕様決めに至るまでの営業ツール(消費者にとっては決定ツール)として活用することは、他社と差をつけるための得策といえる。顧客の要望に柔軟に対応することも可能だが、どういう活用法が顧客の課題なのかを話し合い、本当に望まれる提案を行うことが、顧客の安心感・納得感の構築に寄与し、信頼関係に発展していく。
現在はCG・VR・メタバース受託業務が事業のおよそ9割を占めているが、将来的にはアウトソーシングの領域にも力を入れていきたいという。同社が有するフィリピン法人のIT部隊は、在庫管理や図面作成など、社内のあらゆる業務を手がけることが可能だ。実際、すでに企業とのアウトソーシング契約はいくつか進行している。
あらゆる業態で人手不足が深刻化している昨今、長い目で見て安定的に業務を任せることができる人材は貴重である。ましてや、その人材はITのプロ集団。話を聞いた多くの企業がこのサービスに注目し、なかにはフィリピン現地視察を望む声もあるそうだ。
ただの取引先の関係にとどめない
良きパートナーを目指して「ほとんどの制作会社は、取引先から受け取った図面や仕様書を基に、その通りにつくり上げます。それが間違いだとはまったく思いませんが、肝心な建物の売主となる発注者側がその物件の『売り』を聞かれた際、回答に困ってしまうことは多いです。その原因は、依頼から制作までが単なる流れ作業となっていることにあります」と原口氏は物申す。
IT化が進んでいくなかで「綺麗な建築パース」を制作できる会社は増えており、競合も多い。同社が「強み」だと主張するのは「ねこのチーム全体が、自信をもって手がけたコンテンツの見せ場を説明できる」ことである。
「ITを駆使する当社のような業種との取引は、機械との会話のように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私はまったくそう思いません。図面の段階で依頼主の方と意見を交換し合い、今まで手がけた案件の知見なども加えながら、より良い物件をともにつくり上げていくことに重きを置いています」(原口氏)。
そんな同社が目指すのは「モノいう猫の手」だ。かゆい所に手が届く存在、であって必要であればパートナーとして意見も言い合える、そんな関係性を築いていきたいという。
人材不足の進む建築業界で、原口氏は「会社の体制を今一度見直してほしい」という。各々がもつ技術や経験を最大限生かしていくには業務の標準化が必須であり、ITなど、人員にとって代われるものがあるなら利用していくのも手だ。
「会社を動かす人は、後世にわたって会社を存続するための役回りを担ってほしい」。そのために「ねこ」がもつ高度なIT技術を利用することも視野に入れるのはどうだろうか。社員として、また良きパートナーとして「ねこの手」を貸してくれることだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:原口 潤也
所在地:福岡市博多区博多駅前2-12-12 第5グリーンビル5F
設 立:2021年9月
資本金:1,000万円
TEL:092-260-8118
URL:https://www.necopower.com
<プロフィール>
原口 潤也(はらぐち・じゅんや)
1982年、福岡県生まれ。金属防水・屋上緑化で全国展開する会社で営業企画を担当し、海外展開を統括。現地法人の設立から拡大を図り、傍ら日本企業の進出も支援。2021年9月に独立し、日本法人(株)ねこを設立。建設業界の業務委託を皮切りに、業界問わずアウトソーシングの構築を成功に導く。法人名
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