2024年12月22日( 日 )

アビスパ、クラブ史上初の天皇杯準決勝進出 福岡3-1湘南

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サッカーイメージ    サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は30日、ホームのベスト電器スタジアムに湘南ベルマーレを迎えて天皇杯準々決勝の試合を行った。

 この日午後には土砂降りの雨が降り、高温多湿の厳しい環境で迎えたこの試合。天皇杯とルヴァンカップの両方で勝ち残っているアビスパにとっては、夏の5連戦の2戦目にあたるゲームだ。

 リーグ戦で途中交代を余儀なくされたFWルキアンがベンチからも外れ、このところ出番に恵まれていなかったFW鶴野怜樹、DF小田逸稀、DF井上聖也、GK永石拓海がスタメンに起用された。一方で中盤を支えるMF前寛之、MF井手口陽介は先発起用が続く。替えのきかない選手たちだけに、疲労の蓄積が気になるところだ。

 試合は開始早々に大きく動く。4分、アビスパ陣内の深い位置でスローインを得た湘南は、ボールをペナルティエリア内で待つFW鈴木章斗へ。鈴木はアビスパDF奈良竜樹に背中につかれながらも反転し、鋭いシュートをサイドネットに突き刺した。

 ここのところ先制点を奪われた後に流れをつかみきれず、勝ち星から見放されていたアビスパだったが、この日は違う。FW鶴野怜樹は素早い動き出しで湘南DF陣を脅かし、FW山岸祐也、MF佐藤凌我は連動したプレスで湘南のビルドアップを何度も覆す。

 なかでもこの日最も光っていたのは、MF井手口陽介だ。細かいダッシュを繰り返して湘南ボールを刈り取り、無尽蔵のスタミナであらゆるポジションに顔を出す。失点こそしたものの、前半はアビスパのペースで試合が進む。アビスパはセットプレーからDF井上聖也が何度もヘディングシュートを放つが、いずれも湘南GK富居大樹の好守にはばまれ、ゴールを割ることができない。

 だが、選手全員が身を投げ出してプレーを続けてきたことが報われる瞬間がきた。前半終了間際の44分、湘南陣内でのボールの奪い合いからMF井手口が二度三度とチャレンジを続け、奪い切ったボールをFW山岸→MF佐藤→MF前と流れるようにパスをつなぎ、最後はFW山岸がGK富居の動きをよく見てゴール右隅に流し込んだ。

 同点にして前半を終えたアビスパは、勢いそのままに後半に臨む。67分、相手から奪ったボールを拾ったMF紺野和也がドリブルし、湘南DF2人を引きつけてつぶされながらもMF井手口にパスを送る。ドリブルで前進する井手口の前にはFW山岸、MF佐藤が走るが、湘南DF陣の意識が佐藤に引きつけられたのを見て取った井手口は山岸にラストパス。完全にフリーになった山岸が丁寧にボールをさばき、狙いすましたシュートを流し込んだ。アビスパがついに逆転をはたす。

 さらにこの日のアビスパは止まらない。73分、DF井上聖也が前進して湘南からボールを奪うと、中央で待ち構えるFW山岸にパス。シュートも打てる位置だったが、「(MF佐藤のほうが)ゴールのにおいがしたし、確率も上がると思った」と冷静に判断した山岸が佐藤に完璧なパス。佐藤がこれを難なく沈め、3-1とアビスパがリードを広げた。MF佐藤は、これで天皇杯4試合連続ゴールを達成した。

 このゴールで湘南の気持ちを完全にくじいたアビスパは、このまま勝利。クラブ初の天皇杯ベスト4進出を決め、またしてもアビスパの歴史に新しい1ページを刻んだ。

 この日行われた他会場での試合結果により、ベスト4に進んだのはアビスパに加えて川崎フロンターレ、柏レイソル、ロアッソ熊本(J2)。アビスパが準決勝で対戦するのは川崎フロンターレだ。あと1勝すれば、東京・国立競技場で行われる決勝戦への出場が実現する。

 準決勝が行われるのは10月8日(会場未定)。ぜひ、アビスパには「夢の国立」への切符を勝ち取ってほしい。

 また、9月6日・10日にはルヴァンカップ準々決勝・FC東京戦が行われる(6日はアウェー、10日はホーム)。9月3日にはリーグ戦のFC東京戦があるため、同じチームと1週間で3回対戦するという異例のスケジュールだ。

 厳しい日程を乗り越え、新しい景色へと歩みを進めるアビスパ。ぜひ、スタジアムで応援しよう!

【深水 央】

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