2024年11月23日( 土 )

再生可能エネルギーの活用をリードする企業 確かな技術で省エネから創エネまで提供

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(株)堀内電気

第40回優秀経営者顕彰 優秀経営者賞
総合電気設備業としての業績が評価される

 1986年の創業以来、総合電気設備工事業社として、幅広い種類の工事を手がける(株)堀内電気。現在は太陽光発電システムの施工管理が主軸となっているが、もともとは受変電、送電、電気空調、通信工事などを得意とし、安定した経営を続けてきた。

 大きな飛躍を遂げる転機となったのが法人化した97年に携わったモルディブ共和国の太陽光発電システムへの技術支援。当時、日本国内での太陽光発電システムの認識度はまだ低く、事業化は困難を極めたが、2012年の電力の固定価格買取制度(FIT)の導入で一気に波に乗った。13年3月期の売上高は前期比約1億2,000万円増の4億3,736万円、14年3月期は約3倍となる12億6,442万円の売上高を計上した。15年からは長崎県西海市で自社保有物件「堀内八木原ソーラーパーク」の運転を開始し売電収入を得るなど展開を続けた。

 しかし、電力会社による買取制度は改正が行われ、業界の外部環境が急減に変化した。それでも、積み上げてきた施工実績を基盤に、保守・管理業務を着実に育て、新たな飛躍の糧とした。以降、売上高は概ね10億円台で推移しており、今期の売上高は約15億円を見込んでいる。

 M&Aも積極的に進めており、3社を子会社化した。とくに2000年に買収した(株)eパワーは、業態を変更してから売上高が3,000万円から5億円に、従業員が5名から30名となるなど、以前からは予想できなかったほどの急成長を続けている。16年買収の(有)太宰府電工は官公庁受注に強く、20年買収の(株)アール(沖縄県)は、沖縄地区の事業拡大につながっている。

(株)堀内電気 堀内重夫 社長
(株)堀内電気
堀内 重夫 社長

    電気工事士だった父の影響を受け創業したという堀内重夫社長。23年1月には、日刊工業新聞社より、優れた経営手腕で社会や地域経済に大きく貢献した中堅・中小企業経営者を称える、 第40回優秀経営者顕彰 優秀経営者賞を受賞している。九州から2名のみという快挙であり、同氏が業界団体や経済団体の役職を歴任に公職に尽力するなど、誠実な人柄と堅実な経営を重ねてきた実績から考えると、必然だといえるだろう。

新規事業にかける想い
国策とエネルギー活用問題

愛車は電気自動車(テスラ社)
愛車は電気自動車(テスラ社)

    22年からは、太陽光発電の「屋根貸して事業」(PPA)を進めている。これは堀内電気が顧客から屋根を借り、太陽光発電設備を無料で設置、そこでできた電気を顧客に買い取ってもらう、というものだ。契約期間中は同社がメンテナンスを請け負う。規定期間が満了すれば、太陽光発電設備は顧客へ譲渡され、その後は余剰電気の販売収入が得られる。設置や契約には条件があり、一定の面積も必要にはなるが、初期費用も管理コストもかからず、場所を貸すだけで導入が可能となる。電力会社の買取価格が今後も下落していくことを見据えて、ゆくゆくは福岡の公共の建築物で使用する電気に充てるという。再生可能エネルギー活用の理念に賛同する企業を20社ほど募り、自己資金1億円を投入、一部着工している。

 「世界的にみても、今後再生可能エネルギー活用は必須です。国策として急ぎ取り組んでいますが、日本はかなり遅れていますね。政府は公共施設が使用する電力を50年には再生エネルギー100%にするようにと通達していて、積極的に取り組む自治体には最大50億円の補助金を出しています。しかし、現実的にすべてを自治体で賄うことは難しいので、外部からの供給が必要となります。当社がその受け皿になります。この仕組みは環境への貢献という意味をもつだけでなく、企業、自治体および銀行にとってもプラスになります。そしてその波は民間にも、少し遅れてやってくるでしょう。長期的な事業になりますが、我々がしっかりとリードできるよう力をつけておきたいところです」と語る堀内社長の目は力強い。

女性技術者の育成で、会社を明るく強くする
性別問わず、誰もが活躍できる環境に

    同社は電気工事業界では珍しく女性比率が高い。資格保有者2名を含む8名の女性社員が在籍しているが、今後は会社が資格取得までサポートをして技術者を増やすとともに、女性だけのチームもつくる計画を立てている。長く営業事務をしていた女性が、工事に興味をもち第一種電気工事士の試験に挑戦して合格、工務部へ異動し活躍している前例があり、資格取得後の業務がイメージしやすいことに着目した。工具などは時代とともに改良され、男女関係なく作業しやすい環境に変化していることも追い風といえる。現場ではお手洗いや更衣室などの整備が難しいといわれているが、小規模の現場では今のところ問題はないという。

 月に約2回発行しているメールマガジンを担当するのも女性社員だ。ほぼ毎日インスタグラムの更新も行っている。同担当者は電気に関する勉強を自主的に重ねてどんどん知識を身につけてきたというから驚きだ。その仕事ぶりで社内の雰囲気を明るくしており、プラスの影響が大きい。環境開発事業部の女性社員はメールを主とした営業を行っており、こちらも反応が良いという。契約単価が高く、1件成立すれば利益が大きいので営業効率が良いうえに、社員のモチベーションアップにもつながる。

 グループは拡大を続けており、堀内電気だけで社員は30名を超えた。技術者はもちろんのこと、総務・経理担当者も増員する予定だ。「創業37年になりますが、2012年には大きな危機に直面して、頭を抱えていました。どうにか半年で立て直すことに成功して、その後は順調に売上を伸ばしてきましたが…本当にあっという間でした。M&Aはほかにも1件を予定していますし、新事業も推し進めています。なかなか引退はできないですね」と明るく笑う社長の熱いエネルギーと志のもとに、多くの人が集うのは納得である。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:堀内 重夫
所在地:福岡市博多区浦田1-5-46
設 立:1997年4月
資本金:4,000万円
TEL:092-513-3377
URL:https://www.horiuchi-e.co.jp/


<プロフィール> 
堀内 重夫
(ほりうち・しげお)
1958年12月生まれ、福岡県大野城市出身。筑紫工業高等学校(現・筑紫台高等学校)を卒業後、地元の電気工事会社に就職。86年に堀内電気工事店を創業、97年に現商号に法人化。2017年5月から福岡電気工事業協同組合の理事長を務める。趣味は釣りとゴルフ。

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