2024年12月22日( 日 )

ウェリントン弾でジンクス破る! 福岡1-0名古屋

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は16日、ホームのベスト電器スタジアムに名古屋グランパスを迎えて第27節の試合を行った。

 アビスパと名古屋には、因縁がある。2017年、井原正巳監督率いるアビスパはJ2の4位でシーズンを終え、J1昇格最後のひと枠を争う昇格プレーオフに挑んでいた。初戦で東京ヴェルディを下したアビスパを決勝で待ち構えていたのが、名古屋グランパスだ。

 MF山瀬功治のシュートがクロスバーを叩き、GK杉山力裕が渾身のセーブを見せ、DF冨安健洋が相手エースを完璧に抑える。引き分けの場合は年間順位で上回る名古屋が昇格となるため、アビスパの選手たちは懸命に戦い続けた。

 なかでも、アビスパが最もJ1に近づいたのがFWウェリントンのヘディングシュートだ。DF駒野友一のクロスに飛び込んだウェリントンのシュートはゴールネットを揺らしたが、判定はオフサイド。試合は0-0の引き分けに終わり、名古屋がJ1復帰をはたした。

 アビスパが昇格をはたした2021年、開幕戦の相手も名古屋グランパス。名古屋MFマテウスが2ゴールを奪う活躍で、かつて同じプレーオフを戦った名古屋に「J1の怖さ」を見せつけられ、完敗を喫する結果となった。名古屋戦には苦い思い出がある、というアビスパサポーターは多いだろう。それもそのはず、アビスパはJ1では対名古屋戦6連敗。前回勝ったのは2000年8月のことだった。

 そして、このジンクスを誰よりも振り払いたかったのが、FWウェリントンだ。2017年限りでアビスパを退団し、ヴィッセル神戸、湘南ベルマーレなどを経て今シーズンからアビスパに復帰。ここまでリーグ戦・カップ戦合計で4ゴールを挙げている。

 試合は両チームとも同じフォーメーション、同じプレースタイルが正面からぶつかり合うミラーゲーム。個々のプレーヤーのクオリティで上回る名古屋に対し、見事な連携で名古屋に思う通りのプレーをさせないアビスパが徐々に流れをつかんでいく。

 そして、積年の因縁が決着する瞬間が訪れた。84分、DF宮大樹が左に展開。ボールを受けたMF前嶋洋太が軽く切り返してゴール前にクロスを上げると、巧みなステップで相手DFを置き去りにしたFWウェリントンがドンピシャリのヘディングシュート。2017年のプレーオフでの幻のゴールを、今度こそ完璧に叩き込んでみせた。

ジンクスを打ち破る、FWウェリントンのゴール
ジンクスを打ち破る、FWウェリントンのゴール

 さまざまなジンクスを打ち破り、クラブ新記録を打ち立ててきた長谷部アビスパ。ウェリントンが決めたこのゴールもまた、長く語り継がれる名シーンの1つとなるだろう。

 この名古屋とは、10月にルヴァンカップの準決勝で再度激突する。決勝進出に向け、これ以上ないブーストになったのは間違いない。また、リーグ戦の順位は変わらず8位。だが9位川崎との勝ち点差は5に広がり、さらに上位も狙える位置につけている。

 アビスパは、強い。今年のアビスパは、文句なくこれまでで一番強い──そう胸を張って言えるチームに仕上がってきている。

試合終了後、ゴール裏サポーターに笑顔で応えるFWウェリントン
試合終了後、ゴール裏サポーターに
笑顔で応えるFWウェリントン

【深水 央】

関連キーワード

関連記事