国土地理院 明治期の地図を基にした液状化リスク情報公開
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国土地理院は21日、「明治期の低湿地データ」を現在の地図に重ね合わせる作業を完了し、それによる液状化リスクの地図データをホームページで公開した。浸水被害や地震による液状化など多くの自然災害が、地形や土地が有する元来の性質と密接な関係がある。地域防災の強化に役立てるため、その関係をより精度高く把握できるようにしたものだ。
国土地理院は、近代測量技術によって国内の基本図を整備し、更新してきた。明治期の低湿地データは、明治中期以降に作成した縮尺2万分1の地図に表示されているが、今回のデータは当時の土地利用記号を基に、河川や湿地、田、芦葦(あしよし)の群生地などの低湿地と考えられる区域を抽出、現在の地図と重ね合わせている。
2013年3月から順次、公開を開始していたもので、これまでに三大都市圏周辺などで約3万5,000m2のデータが公表されていた。今回は整備範囲を大幅に拡大し、神戸市など35地区の約4万3,000m2のデータを新たに加え、公開から10年を迎え整備完了となった。
大規模な都市化が進み、元来の地形や地盤の状況がわかりにくくなっているが、一般に過去に低湿地であった場所は地震による液状化などとの関連性があり、地盤改良などの対策が実施されていない場所ではリスクが高いとされている。
11年3月に発生した東日本大震災では、実際にかつて低湿地(昔の水域)だった範囲で液状化が発生した。そうした状況を受け、国や自治体はハザードマップの整備を進め、人々に災害リスク把握に関する意識向上を促してきた。
さらに20年8月には、不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の災害リスクに関する説明が義務化された。国土地理院による今回の取り組みは、このようなリスク把握の精度を一層高めるものとして期待される。
【田中 直輝】
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