洋上風力をめぐる汚職事件、後ろ盾の菅前首相までおよぶか
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27日、洋上風力発電事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部(以下、特捜部)は、国会質問の見返りに日本風力開発(株)(東京都千代田区)の前社長より、約7,286万円の賄賂を受け取ったとして、衆議院議員の秋本真利容疑者(比例南関東、自民党を離党)を受託収賄罪で起訴したことを発表した。また、新型コロナウイルス対策給付金約200万円の詐取でも起訴されているが、国会議員では初めてという。なお、日本風力開発の前社長は、贈賄罪で在宅起訴されている。
特捜部の取調べに対し、秋本氏は起訴内容を否認し、議員辞職も拒んでいる。27日、秋本氏の弁護人は、東京地裁に保釈請求を行った。今後、検察と真っ向から争うとみられる。
この問題は、政治主導で行われた再生エネルギー(以下、再エネ)事業の利権構造と、自民党内の勢力争いが背景にある。
秋本氏は、原発支持派が多い自民党内にあって珍しく反原発路線で、再エネの推進派であった。秋本氏の初当選は2012年12月の衆議院議員選挙だが、自民党が民主党から政権を奪還した時だ。
安倍政権の官房長官を務めた菅義偉前首相とは、出身大学が同じ法政大学であった縁故もあって、菅氏に近い立場におり、菅グループの「偉駄天の会」「ガネーシャの会」に入会している。
17年8月、第3次安倍第3次改造内閣の国土交通大臣政務官に就任し、同年10月の第48回衆議院議員総選挙で再選されたが、同11月に発足した第4次安倍内閣で国土交通大臣政務官に再任されており、2度も国土交通大臣政務官に任命されたのは、菅氏の意向が働いていたという。
菅氏は、同じ神奈川選出の河野太郎氏を自民党総裁選挙に担いだといわれ、特捜部は、秋本氏の先に菅氏を狙っているのでは、という見方をする政界関係者もいる。菅氏が影響力を失うことで得をするのは、政敵と言ってよい岸田文雄首相や麻生太郎自民党副総裁らである。
安倍政権時代、安倍首相は、公安・警備出身の警察官僚を官邸中枢に登用した。警察庁警備局を頂点とする全国の公安警察を使い、与野党政治家のスキャンダルを掌握できたことが、安倍一強につながった大きな要因の1つといわれる。その一方で、菅氏は、官房長官として、各省庁の幹部人事を掌握したが、とくに法務省や検察庁の幹部人事に介入した。検察サイドにはこのことへの強い反発があるといわれる。
岸田政権において、菅氏や二階俊博氏は非主流派となっており、とくに派閥をもたない菅氏の影響力低下は否めない。今回の秋本氏の摘発は、氷山の一角にすぎず、検察はその先を見据えていると考えると、今後の政局に大きな影響を与えることになるだろう。
【近藤 将勝】
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