2024年11月05日( 火 )

遠かった天皇杯決勝 川崎4-2福岡

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サッカー イメージ    サッカーJ1リーグアビスパ福岡は8日、アウェーの等々力陸上競技場で川崎フロンターレと天皇杯準決勝の試合を行った。

 やはり、王者川崎は強かった。アビスパにとって初めての天皇杯準決勝は、そう痛感させられる一戦となった。

 リーグ戦ではアビスパが8位、川崎が9位。勝ち点差は6と、アビスパは川崎に大きな差をつけている。また、ここ数年の川崎は、日本代表MF三笘薫、日本代表MF田中碧、日本代表MF旗手怜大をはじめ、活躍した選手が次々と海外移籍をはたしていくことで、やや力を落としている。アビスパにも十分勝算はある……と思ったのは筆者だけではないはずだ。

 だが、ここ一番の試合で川崎が見せた地力は、まさにさすがの一言に尽きる。

 前半5分、コーナーキックから川崎DF山村和也のゴールで始まった試合の流れは、前半38分に川崎が得たPKでほぼ決まったかに見えた。だが、そこに立ちはだかったのは「アビスパの村神」ことGK村上昌謙。キッカーの川崎FWレアンドロ・ダミアンがギリギリまで溜めて放ったゴール中央へのシュートを、村上は見事な反応でセーブ。これで形勢は大きくアビスパに傾く。

 42分、終了間際のMF金森健志の同点ゴールでアビスパに大きく傾いたかに見えた。相手ボールのスローインをDF前嶋洋太が奪うと、このボールをMF紺野和也、MF井手口陽介がつなぎ、ペナルティエリア内のFW山岸祐也へ。山岸が一瞬の反転で相手DFを置き去りにし、ゴール前へ折り返す。そこに走りこんでいたのは、MF金森健志だった。値千金の同点ゴールを奪い、アビスパは押せ押せの空気のまま後半を迎える。

 だが、その雰囲気を一変させたのが川崎のキャプテンマークを巻くMF橘田健人。ゴール前の混戦からGK村上がパンチングでクリアしたボールを橘田がダイレクトでシュート。必死に防ごうとしたDF奈良竜樹の足に当たってコースを変えたボールは、無情にもアビスパゴールに吸い込まれた。

 勝ち越しを許し、もう後がなくなったアビスパは攻勢を強める。だが、その隙を見逃さないのが王者・川崎だ。70分、アビスパの攻撃をしのいでボールをキャッチした川崎GKチョン・ソンリョンが素早く前線にボールを送る。これを快速FWマルシーニョが受け、前進してきたGK村上をあざ笑うようにループシュートを決めた。

 だがそれでもアビスパはあきらめない。長身のFWウェリントン、裏への抜け出しを得意とするFW鶴野怜樹を投入し、逆転を狙う。とにかく前へとボールを進めるアビスパに対し、鋭いカウンターを見せる川崎。何度もゴールに迫るアビスパだが、81分に川崎FWレアンドロ・ダミアンのゴールが決まって4-1とされてしまう。

 試合としてはこれで「勝負あり」。だが、このまま終わるわけにはいかないアビスパの意地が、最後に炸裂する。後半アディショナルタイムの96分、DF湯澤聖人のロングフィードをFW山岸がヘディングで前線に送ると、このボールに反応したFW鶴野が反転して川崎DFをかわし、左足のシュートをゴール隅に突き刺した。試合は4-2で川崎が勝利し、決勝に駒を進めた。

 アビスパは強くなっている。だが、一発勝負のトーナメントでは、まだまだトップチームとの差がある……それを痛感する一戦となった。

 だが、アビスパにはもう1つ準決勝が控えている。ホーム&アウェーで行われるルヴァンカップの準決勝は11(水)と15(日)の両日に開催される。11日は、アビスパのホーム・ベスト電器スタジアムでの試合だ。

 アビスパのクラブ史上初となる決勝進出、初めての「国立」。その戦いを、ぜひスタジアムで応援してほしい。

【深水 央】

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