日銀地域経済報告、景気判断は6地域で上方修正、九州は据え置き
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19日、日銀は秋の支店長会議を開き、全国を9地域に分けて4半期ごとに景気動向を分析する地域経済報告「さくらレポート」をまとめた。
それによると、景気判断は6地域で上方修正し、北海道、東北、四国は「持ち直している」、北陸、関東甲信越、中国は「緩やかに回復している」とした。東海、近畿、九州・沖縄の3地域については、判断を据え置いた。
全国の需要項目等別概要
公共投資は、国土強靱化関連工事の発注で増加している。
設備投資では、コストの高騰から計画の見直しがあるものの、省力化・デジタル化投資や環境対応投資が進行中である。
個人消費では、外食や旅行のサービス消費が中心に、ペントアップ需要が増加し、とくにインバウンド需要の回復が目立つ。祭の開催や外食の回復、観光施設の稼働が増えているが、人手不足の影響も指摘されている。
物販の消費では、高額品の売上が上昇しているものの、消費者の節約志向の強まりが見られ、低価格商品へのシフトや購入点数の減少が報告されている。
住宅投資は、物件価格の上昇の影響で弱化している。輸出・生産では、電子部品や素材の生産調整が目立つが、自動車関連の増加が報告され、全体としては横ばいの状態である。
雇用・賃金の面では、人手不足が強まるなか、賃上げが進行しており、所得状況が向上している。しかし、来年の賃金改定については、賃上げの継続が予想されるが、その幅は慎重な姿勢の企業が多い。
価格設定に関して、コスト上昇を反映した価格転嫁が進んでいるが、最近は消費者の節約志向を受けて価格の上昇が抑えられる傾向がある。しかし、原油価格の上昇や為替の円安など新たなコスト上昇の圧力が懸念されている。
九州・沖縄地域の状況の概要
九州・沖縄地域の景気は緩やかに回復の兆しを見せている。主要な要因として、公共投資が高水準で進行中であり、設備投資も増加傾向にあることが挙げられている。
個人消費に関しても好転しており、百貨店やコンビニエンスストアの売上、乗用車の新車登録、旅行・観光が増加している一方、家電販売はやや弱い動きを示している。
生産面では、鉱工業生産が横ばいであり、とくに自動車や電子部品の生産は高水準で推移しているが、鉄鋼・非金属は横ばいである。
雇用・所得の状況は徐々に良くなっており、物価に関しては前年よりも上昇している。企業の倒産は低水準ながらも増加している。
金融面を見ると、預金の増加が確認され、とくに個人預金が前年を上回る動きを見せている。同様に、貸出も個人や法人向けを中心に増加している。
【寺村朋輝】
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