2024年12月27日( 金 )

福岡9区支部長の長引く空席は、麻生氏の晩節を汚すことに

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地元県議らが茂木幹事長に要望

 岸田内閣の支持率が低迷するなか、年内解散の見通しについて「難しい」との見方が強いが、政局は一夜にして大きく変わるといわれる。いつでも戦いを始められる体勢が必要だ。しかし、次期衆議院選挙の自民党の公認候補予定者(支部長)がいまだに決まっていないのは、全国で福岡9・10区と大阪18区を残すのみとなっている。

 福岡9区の支部長代行を務める松尾統章自民党福岡県議団会長などが27日、自民党本部で茂木敏充幹事長と面会し、改めて県連の党員投票で選出された大家敏志参議院議員を支部長とすることを要望した。

 そのなかで「地元は大家さんを中心とした活動で熱くなっており、それ以外の誰かに決まれば、選挙はできない」ことを強調した。

 松尾氏らの要望に対し、茂木氏は「鞍替えは原則認められていない」ことを説明したうえで、11月中に判断を下す意向を示した。要望のために上京したのは、松尾氏以外に小緑貴吏県議(北九州市戸畑区)など福岡9区内の県議や北九州市議、団体関係者など13人。

 福岡9区の影響は、隣の10区にもおよんでおり、現在、野党系の議員が議席を有する北九州市内の自民党公認候補予定者が、決まらないまま数カ月経過している。10区では、党員投票で、吉村悠県議が公認候補予定者に選出され、連日街頭に立つなど精力的に活動を展開している。

長期の支部長空席は野党有利に

 なぜ、自民党本部が大家氏の支部長選出をなかなか認めないのか。これまでも報じてきたように、大家氏が所属する派閥のトップ、麻生太郎副総裁が大家氏の鞍替えに反対し続けているからである。

 9区については、党員投票で敗北した三原朝利北九州市議も立候補の意思を変えていない。三原氏は、2月の北九州市長選挙で自民党会派を離脱したうえで、県連が推した元国交省官僚ではなく、現市長・武内和久氏を応援するなど、独自の動きをしている。さらに、叔父の三原朝彦・前衆議院議員の秘書時代より、旧統一教会の関連団体と近しいといわれ、教団と関係断絶をした自民党の方針に抵触することを指摘する声がある。

 県連としては、大家氏を一丸となって応援してきたのに、いまだに決まらないことへの焦りや反発がある。かといって、県連の常任相談役であり、中央政界とのパイプを担い、かつ岸田政権に強い影響力をもつ麻生氏と喧嘩するわけにはいかない。もどかしい思いでいる県議や市議が多数いるのが現実だ。党員や支持団体の関係者だけでなく多くの有権者が固唾をのんで見守っている。

 自民党では異例の民主的手続きを踏んで、9・10区とも支部長を選出しており、いつまでも支部長空席にするのは、野党を利するだけである。

 麻生氏もそろそろ次の世代にバトンタッチする時期がみえてきた。これまでの福岡政界、中央政界における働きが大であることを疑う者はいない。国益という観点を政治の土台に置いた数少ない政治家だ。記者も、かつて麻生政権誕生を心より喜び、自身の選挙区ではないが地元飯塚での新年の集いにも参加し、応援した1人である。

 しかし、いつまでも地元の切なる要望を頑なに聞かないのは、晩節を汚すことになることを申し上げたい。

【近藤 将勝】

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