2024年11月22日( 金 )

旧統一教会、7日に会見を行い、被害者補償を国に供託など説明

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 世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)が、高額献金などの被害を訴える元信者らに対する補償の原資として、旧統一教会が約60億から100億円を拠出して国に供託する制度の整備を、政府に提案する方針を固めたことが分かった。

 田中富広同会長が本日午後、本部で記者会見を行う予定という。そのなかで国に供託する方針を表明するほか、霊感商法の警察による摘発が相次いだことを受けて、2009年に当時の会長名で出されたコンプライアンス宣言以降も、一部で高額な献金や不適切な勧誘などが行われていたことへの道義的責任を認めて謝罪するという。

 政府は先月、東京地裁に旧統一教会の解散命令を請求した。解散命令が出された場合、法人の財産は裁判所が選任する「清算人」が管理することとなる。しかし、旧統一教会が、その前に財産を隠匿するために韓国の教団本部に運ぶなどの可能性が指摘されていた。

 立憲民主党は先月20日、被害者救済の費用に充てる目的で、教団の財産を保全する特別措置法案を衆議院に提出し、日本維新の会も同趣旨の宗教法人法の改正案を提出した。

 一方、政府は法整備に消極的な姿勢だ。松野博一官房長官は同30日の記者会見で、旧統一教会の財産保全について「速やかに被害者の救済が図られるよう、現行法上のあらゆる制度を活用し、最大限取り組みたい」と語り、法整備に関しては「議員立法の法案や被害者救済の実効性確保について与野党にさまざまな動きがあり、注視したい」としていた。

 野党や弁護団などの声を受け、与党内においても旧統一教会の被害者救済に関するプロジェクトチームの会合を開いて検討を始めたが、与党は財産権や信教の自由など憲法に抵触する恐れがあるとして慎重な姿勢である。

 保守系議員の読者が多い産経新聞社発行の月刊『正論』は、今月1日発売の12月号において、「解散命令請求への疑義」と題する特集記事を掲載している。同誌編集委員・安藤慶太氏は、6日の『産経新聞』において「ここまでの政府の手続きを、月刊正論は公正性・公平性を欠いた政治主導によって行われた深刻なものだと考えている」と、政府の動きを批判しており、同誌の動画でも、同様の発言を繰り返している。

 同誌の特集は、主に教団側が主張してきた脱会をめぐる説得での不法行為など、これまでメディアにおいて報じられてこなかった視点を取り上げたものだが、教団関係者が解散命令請求の不当性を訴える補強材料としてSNSで拡散している。今後の国の動きに影響を与えることを懸念する被害者や離教した2世などの声もある。

 今回、教団トップの会見が行われる背景には、財産隠しへの懸念を払しょくし、教団は改革を進めているとアピールすることで、与野党による財産保全の法整備を防ぐ狙いがあるものとみられる。

 「全国統一教会被害対策弁護団」の阿部克臣弁護士は、X(旧ツイッター)において次のように指摘した。

「明日の会見、田中会長は、過去の違法行為についての教団の責任をきちんと認めて、被害者に真摯に謝罪すべきである。前提としてそれがなければ、何を並べ立てても無意味だと思う」

 西日本在住の40代の元信者はデータ・マックスの取材に対し、「悪質性の高い献金や正体隠しの伝道を指導してきたのは、教団であり、今回も組織性を認めないのではないか」と語り、「組織責任を認めないのはおかしい。100億円の供託というのは茶番で、財産保全をされたくないから、持ち出してきたとしか思えない」と批判した。

【近藤 将勝】

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