武内北九州市長、自民党会派との予算要望の場を急遽欠席(1)
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2月の北九州市長選挙で、武内和久氏が市長に就任してから約9カ月。いまだに市長選のしこりが解消されてはいないようだ。10月30日には市長と自民党会派による予算要望の会合が予定されていたが、当日になって市長は出席をキャンセルした。このことに自民党会派は猛反発しており、12月議会に向けた火種になりそうである。
市議会からの要望の場を相次いで欠席
11月1日に「自民党・無所属の会」の佐藤栄作市議が「X」(旧Twitter)において、次のように武内市長の姿勢を批判する投稿を行った。
「市長は未来志向で議会と対話すると言ってきました。対話どころか面会すらしない。当然、私たちもきちんとした理由があれば、再度日程調整をお願いしますが、理由を説明せず、どこに行ったかわからないなんて前代未聞で危機管理上も大問題です。市長と議員は、互いに二元代表制のもと選挙で選ばれています。お互いにリスペクトし合いながら、未来志向で市政を進めるべきではないでしょうか」。
旧民主党系会派の「ハートフル北九州市議会議員団」も市長側から、同様に予算要望の会合をキャンセルされている。
背景には市長選の遺恨?
武内市長と北九州市議会の最大会派である「自民党・無所属の会」の間がしっくりいっていないことは、以前から指摘されていた。
今年2月の市長選で、自民党会派をはじめ議会の多くの会派は、前市長・北橋健治氏が後継とした元国土交通省官僚の津森洋介氏を応援した。武内氏を応援したのは、現在「自民党・市民が市長をつくる北九州未来市議団」を構成している三原朝利氏、大石仁人氏、井上純子氏の3人のみであった。
市長選後、北九州市関係の県議・市議は揺れた。自民党福岡県連の松尾統章幹事長(当時、4月の県議選後、県議団会長に就任)が原口剣生県連会長に辞職願を提出。津森氏を支援した「自民党・無所属の会」は、中島慎一団長と村上幸一副団長が、市長選敗北の責任を取るとして引責辞任した。
さらに、同会派は武内氏を支援し、北橋前市長の市政運営を批判したことを「重大な背信行為」として、自民党の市議2人(三原・大石両氏)の処分を求める要請書を党福岡県連に提出したが処分保留のままである。
これは、自民党県連として4月の統一地方選挙前でその影響を鑑みたことと、またいつ衆議院の解散・総選挙が行われるのかわからないなか、党内で相争うことは望ましくないとの判断が働いたからである。
三原氏・大石氏は、自民党県連による福岡9・10区の支部長選任の公募に応じたが、両氏は党員投票、あるいは面談選考過程で外された。9区は大家敏志参議院議員、10区は吉村悠福岡県議会議員が県連の正式な手続きを経て候補者に内定した。そのため三原・大石両氏は、無所属での立候補を目指している。
福岡9・10区の争い
問題は麻生太郎氏の存在である。次期衆議院選挙の自民党の公認候補予定者(支部長)がいまだに決まっていないのは、全国で福岡9・10区と大阪18区を残すのみだ。
福岡9区の支部長代行を務める松尾統章県議団会長などが10月27日、自民党本部で茂木敏充幹事長と面会し、改めて県連の党員投票で選出された大家敏志参議院議員を支部長とすることを要望した。
そのなかで、「地元は大家さんを中心とした活動で熱くなっており、それ以外の誰かに決まれば選挙はできない」ことを強調したという。松尾氏らの要望に対し、茂木氏は「鞍替えは原則認められていない」ことを説明したうえで、11月中に判断を下す意向を示した。
県議団や市議団の上京前の15日、武内市長は次期衆院選で10区からの立候補を表明している大石仁人市議の市政報告会に出席し、大石氏の支援を表明している。この表明は、武内市長にしてみれば自分の面子にもかかわることだったのだろうと推測される。
SNSの投稿削除の圧力
11月10日の定例記者会見で、複数のメディアより、自民党会派や旧民主系会派との会合の急な出席のキャンセルについて問われた際に「急遽の私の用務ということも当然ありますし、また私自身の高度な政治的判断というのもあった」と回答している。
北九州市秘書室は、データ・マックスの取材に対し「急な用務が入られたため、この日は難しいということで(自民党会派に)連絡差し上げた」と回答したが、その具体的な内容の説明はなかった。
さらに、市長サイドは冒頭紹介した佐藤市議の投稿を削除するよう圧力をかけているという。「高度な政治的判断」とはどういうことを意味するのか具体的には語られていないが、市長選、そして福岡9・10区をめぐる動きと関係があるとしたら、市政を私するものではないだろうか。
次回、武内市長の急な予算要望会合の欠席や市議会との向き合い方に対する佐藤市議の声を取り上げたい。
(つづく)
【近藤将勝】
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