2024年12月26日( 木 )

TSMC第3工場 日本の経済・産業構造により大きな影響を及ぼす可能性

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 半導体受託生産の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)が、日本国内における3カ所目の工場建設を、すでに建設中の工場と同様に熊本県内において検討していることが分かった。

 第3工場では、最先端の3ナノメートル(nm)プロセス半導体の製造を検討しているとされる。

 TSMCは現在、熊本県菊陽町に12nmプロセス半導体などを製造する第1工場を建設中で、2024年に生産開始の予定。また、すでに同町付近に第2工場の建設も計画しており、こちらは5nmプロセス半導体を製造する計画で、24年に着工し26年の生産開始を目指すとしている。

 熊本県内におけるTSMCによる半導体工場の集積は、国内の半導体サプライチェーン強化にプラスとなり、自動車をはじめとする国内基幹製造業の大きな後押しになると考えられる。

 その一方で、立て続けのTSMCの工場建設はほかにも意味するものがありそうだ。日本は1ドル=150円台という25年ぶりの円安水準となっているが、TSMCの日本拠点拡大がこの円安傾向の固定化の上にあるとしたら、日本国内への先端製造業の回帰は単純な日本の産業・経済の「復活」などではなく、それらの構造の在り方にこの数十年とは異なる大きな変化をもたらすものと認識せねばならないだろう。

【寺村朋輝】

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