安倍派パー券キックバックは政権を揺さぶる激震に
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与党自民党が揺れている。自民党の安倍派が政治資金パーティの収入の一部を議員側に「キックバック」し、収支報告書に記載していなかった疑いが大問題となっているからだ。所属議員の10人以上がキックバックを受けていたという。総額は2018年からの5年間で1億円以上とみられる。
安倍派ばかりでなく二階派でも不記載の疑いが出ており、この問題は政界を大きく揺るがす問題へ発展するのは間違いない。
事の発端は、自民党の5つの派閥が2021年までの4年間に合計約4,000万円分の政治資金パーティの収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかったとして、神戸学院大学教授の上脇博之氏が告発状を提出したことである。東京地検特捜部が捜査に乗り出したことから、各派閥は訂正を行うなど、対応に追われる事態となっている。
こうした動きのなか、二階派所属の桜田義孝・元五輪担当大臣が、所属する二階派(志帥会)に先月末、退会届を提出した。その理由について派閥によるパーティ券の販売ノルマへ不満があったためとされており、桜田氏に続き派閥から離脱する議員が今後も出る可能性がある。
岸田首相は2日、「各政治団体の事情は最もよく知る人間が説明していくべき」との認識を示したが、「総理の発言はどこか他人ごとだ」という批判の声が自民党内からも発せられている。
安倍派元事務総長の松野博一官房長官は連日、記者会見において「お答えすることは差し控えさせていただきます」と繰り返すばかりだ。松野氏は19年9月から2年にわたって同派の事務総長を務めた。現在は、5人衆の1人として安倍派の集団指導体制に責任をもつ立場でもある。このような政治家の姿勢に国民の不信感は強まるばかりである。
臨時国会は13日で閉会するが、東京地検特捜部は閉会後、安倍派の事務総長経験者、キックバックを受けた所属議員や会計責任者に対する事情聴取を行うことを検討しているとされる。特捜部が安倍政権時代の負の遺産について徹底した捜査を行うことになれば、検察人事にまで介入した安倍政権への意趣返しになると指摘する政界関係者もいる。
いずれにしても、今回のパーティ券問題は国民の政治に対する信頼を落とすものであり、徹底した解明が求められる。ただ、こうした政治家のやりたい放題を半ば黙認してきた責任は国民の側にもあるだろう。選挙に行かない政治的無関心層の増加が、特定の支持層や団体に顔向けしておけば、何とかなるという奢りを生んだのではないだろうか。
【近藤 将勝】
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