2024年11月22日( 金 )

ロバート・ケネディJrは大統領の座を射止められるのか?(中)

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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

 2024年11月、アメリカ大統領選挙を迎える。通常であれば現職大統領は2期目を目指すが、バイデンの再選可能性は揺らいでいる。そんな中、トランプや共和党候補者、民主党を割って出馬の意欲を示すR・ケネディJrの動向に注目が集まっている。

賭けに出たロバート・ケネディJr

 そんな中、新たに注目を集めているのがロバート・ケネディ・ジュニア氏です。民主党の指名争いに名乗りを上げていましたが、ホワイトハウスや民主党全国委員会は同氏を無視し続け、候補者同士の公開討論会も開催しないと非民主的な結論を下しました。業を煮やしたケネディ氏は「無所属での出馬」に舵を切ったわけです。

 同氏は長年、環境や医療問題に弁護士として取り組んできました。また、暗殺された司法長官の父や大統領を叔父にもつ、「ケネディ神話」の継承者でもあります。本来であれば、民主党の最有力候補となってもおかしくない存在です。

 しかし、「自分の父も叔父も暗殺されたが、それを仕掛けたのはCIAだ。自分が大統領になれば、ディープ・ステートの闇を暴き、CIAを解体する」と異常なまでの執念を燃やしています。これではホワイトハウスも彼を認めるわけにはいきません。何とか、彼の芽を摘もうとし、「あいつはコロナ・ワクチンを認めない陰謀論者だ」といった反ケネディキャンペーンを展開してきました。

 ところが、彼が無所属での出馬を宣言するや、個人献金や企業による支援が鰻登りで、民主党のみならず共和党支持者の間でも「ケネディ応援団」が誕生。あと1年を切った大統領選挙ですが、どこまで票を獲得できるのか注目が集まっています。

 そんなケネディ氏が新たな選対本部長に任命したのが義理の娘のアマリリス。ロバート・ケネディ3世の妻で、CIAのテロ分析官として10年以上の実績の持ち主。選挙公約の「CIA解体」に向けて、彼女の提供するCIAの内部情報がどこまで有効なものなのか、大いに関心が寄せられている次第です。

蒸し返されるケネディ暗殺の疑惑

アメリカ大統領 イメージ    何かと話題を呼ぶロバート・ケネディ・ジュニアですが、バイデン氏やトランプ氏と比べれば69歳と若さが目立ちます。これまでは環境や医療問題に熱心な弁護士として活動してきました。

 とくに、注目されたのは『ファウチ博士の真実』など著作を通じて、政府のコロナ対策を製薬メーカーの言いなりと批判し、ウクライナ戦争も軍産複合体の金儲けの場となっているとまで批判の刃を突き付けていることです。 

 また、「父ロバートや叔父JFKが暗殺されたが、その真相が封印されたままである」と政府の隠ぺい体質を糾弾しています。1992年に議会で成立した「JFK暗殺記録法」(2017年10月まですべての記録を開示する)に違反しているとバイデン政権を痛烈に批判。

 すると、バイデン大統領はケネディ大統領の暗殺に関する政府の調査報告書の一部を「永久に非公開とする」大統領令に署名(6月30日の深夜)してしまいました。60年前の事件を封印しようとするのはなぜなのでしょうか?ほとんどのメディアはスルーしてしまいましたが、多くの国民は疑念を抱いています。

 これは1992年に議会で成立した「ジョン・F・ケネディ記録法」に違反するもの。なぜなら、その法律に従えば、ケネディ大統領暗殺に関するすべての記録は2017年10月までに公開することが決まっていたからです。

 今回の「無期限非公開」の決定について、バイデン大統領は「国家の安全保障を害する恐れがあるため」と説明。ホワイトハウスの声明文によれば、「国防、諜報活動、法の執行、外交関係において想定外の悪影響が発生することを回避するため」とのこと。一体全体、何を恐れているのでしょうか?

 こうしたアメリカ政府の隠ぺい体質について、多くのアメリカ国民は不信感を抱いていることは間違いありません。暗殺されたのはケネディ大統領に限りません。その弟であるロバート・ケネディ司法長官も凶弾に倒れています。

 両方のケースに共通しているのは、「単独犯による犯行」との政府の報告です。それに反する現場からの証言が数多くあったのですが、一切、無視されてきました。そのためロバート・ケネディ・ジュニアは「伯父も父も暗殺されたが、CIAが深く関与していた」と発言。

 そのうえで、2024年の大統領選挙で勝利した暁には「真相を明らかにし、CIAを解体する」とまで、これまで誰も踏み込めなかった公約を掲げているのです。

 親族の暗殺事件に関してはこれまで独自の調査を重ねてきたとのこと。「自分もCIAによる暗殺のターゲットになりかねないので、十分注意している」と語りながら、選挙活動を続けています。CIAや「ディープ・ステート」にとっては、確かに目障りな存在でしょう。

 ロバート・ケネディ・ジュニアはCIAなど「ディープ・ステート」の暗躍を暴露しようとしたため、政府や主要メディアからは排除されてきました。それにもめげず、新型コロナウイルスの出所と疑われる中国の武漢の細菌研究所にCIA、USAID、NIHなどが資金提供していたことを明らかにしています。

(つづく)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
    国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

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