災害時の女性・子どもの性被害に注意喚起を
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能登半島地震の発生後、SNSにおいて、避難所などでの「性被害」に注意を呼びかける投稿が相次いでいる。
表沙汰にされなかった性被害
元旦に石川県・能登半島を中心に襲った地震は正月気分にあった多くの日本国民に衝撃を与えた。少なくない北陸地方の住民が余震の不安を抱えながら避難所生活を強いられている。世界各国からお見舞いのメッセージなどが寄せられている。
地震など大規模災害に際して、学校の体育館などでの避難生活を余儀なくされた環境において、女性や子どもを狙った性犯罪行為が相次ぐ実態がある。しかし、被災地での性被害について、あまり公に語られてこなかった。
能登半島地震の発生直後から、X(旧twitter)には避難する住民に向けて避難所生活での注意喚起を行う投稿が数多く投稿された。東日本大震災や熊本地震などにおいても、性被害があったにもかかわらず、被害者と加害者双方が被災者という状況で、被害を訴えることができないケースが少なくなかった。
「東日本大震災女性支援ネットワーク」(現・減災と男女共同参画研修推進センター)が震災当時の女性や子どもへの暴力に関する調査をまとめた報告書において、「避難所で夜に布団に入られた」「下着を脱がされた」などの性被害が報告されている。
女性が避難所で注意すべきポイント
(一社)「FUKKO DESIGN」は2021年に「コロナ禍でもすぐにできる!防災アクションガイド」の第7弾として「特に女性に知ってほしいこと / 女性の災害への備え」を公表した。「ものの備えを確認しよう」「衛生面で気をつけること」「避難所で気をつけること」「授乳などで気をつけること」の4点について、女性が注意すべきポイントを紹介している。
「避難所で気をつけること」では、「複数人で行動しよう」「防犯グッズを持ち歩こう」などすぐ取り組める具体的なアドバイスを掲載している。
同団体は、「大雨&台風」「熱中症」「天気の急変」「冬の荒天」などをテーマに、男女問わず使える自然災害への備えについて発表してきた。「特に女性に知ってほしいこと / 女性の災害への備え」に関して、「女性は災害時、生理まわりや衛生面で特有のニーズが出てくることや、避難所生活において性犯罪などに気をつけなければいけない状況」があり、「女性だけでなく男性も含め、すべての人が知っておいてほしい情報をまとめた」という。
内閣府が公表したチェックシート
政府は21年6月11日付で、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)・女性活躍担当大臣と内閣府特命担当大臣(防災担当)の連名で「女性の視点からの防災・減災の推進について」と題した通知を都道府県知事や市町村長に対して出している。
通知においても「避難所等における性暴力・DVの防止や、意思決定の場への女性の参画等、女性の視点に立った被災者支援の推進に加え、災害対策に女性の視点を組み込むための国及び地方公共団体の防災担当部局の体制強化が重要」としたうえで「災害対応に当たっては、現場を担う地方公共団体の役割が大変重要であり、全ての地方公共団体において、女性の視点からの取組が進められることが不可欠」との認識を示している。
内閣府が公開している「避難所チェックシート」には、トイレ、更衣室、休養スペースを男女別に設置する、就寝場所や女性専用スペースなどへの巡回警備、防犯ブザー配布などの具体策が挙げられている。
避難所生活が長期化するに従い、性被害などの問題は増えていく。我慢が美徳と日本の社会でいわれてきたことが、逆に人権を侵害し、新たな被害を生むことにつながるという認識を持つ必要がある。
避難所運営をはじめ現場の意思・方針の決定の場が男性中心であることが女性団体などから指摘されてきた。男女のニーズの違いやプライバシーへの配慮などきめ細やかな対応を行っていくうえで、女性を含むさまざまな視点や意見が不可欠だ。
【近藤 将勝】
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