2024年12月18日( 水 )

地道な経営努力が実を結ぶ再生の実現(後)

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ホテル華の荘(はなのしょう)

経営陣が一新 黒字化をはたす

ロビー    同ホテルが一新されたのは、近年経営陣が交代したためである。そのトップである羅世鵬氏に話をうかがうと、「縁があり経営を引き受けることにいたしました。やるからには黒字化、従業員の生活の安定、地域貢献を目指します」と、答えてくれた。

 そのためか、リニューアルされたと思われる箇所が随所にある。たとえば、食堂。壁のクロスから照明器具、テーブルや椅子、宿泊客に目に入る設備はすべて一新され、妥協は一切ない様子だ。また、人吉市内を一望できるロビーもゆったりしており、ソファーに座って周りを眺めてみると日本風の落ち着いた雰囲気を醸し出しているのがわかる。広い庭に出てみると人吉市内が一望できる、ほど良い高さにあるようだ(残念ながら朝もやでまったく見えず)。ただ、庭に鎮座しているモアイ像もどきはある意味インパクトある。何の意味があるのか聞いてみるべきだったか。

モアイ像もどき    室内に戻り見渡してみるとフロント横には従業員の作業軽減の一環と感染症対策としてかアメニティグッズがずらりと並ぶ。必要なものだけを取って部屋に入るので無駄がなくなり、従業員も余計な作業がなくなるので、個人的には賛成である。

 売店も別室をつくり、地元の名産を並べている。中央に置いてあるのは地元産のお茶を始め、つくだ煮や菓子など多種多様のお土産が並ぶ。相変わらず“くまモン”が目につき熊本を代表する優秀な営業マンぶりを果たしている。

 宿泊のメインともいえる温泉についてはサウナ、家族風呂、露天風呂と一通りそろっており、朝風呂の際露天風呂で雄大な景色を眺めてやろうと思ったのだが、モヤに隠れて堪能できず。残念。

 それでも、地域の人が気軽に利用できる本格的なシステムと、宿泊客利用とを併用して稼働するのであれば、それなりの工夫と設備が必要だったはず。それに踏み切ったのは20年7月の水害が影響していると聞く。地元の方々が水害で被害を受け、風呂の利用ができなくなり、チャーターされたシャトルバスで同ホテルの温泉を利用した経緯があるからだ。「ありがたいことに、今もたくさんの方々に利用してもらっています」と羅氏は語る。その見返りも大きく、現在、ホテル収益の一角を占めている様子だ。そうした羅氏を筆頭に従業員と一丸となった経営努力で黒字化をはたしたとのこと。

 その利益が従業員への賞与として還元されたのはうれしい限りである。従業員の生活の安定と雇用の確保、地域の方々への恩返し、宿泊客へのサービス提供の向上など、羅氏の地道な経営方針が花開いているようだ。

期待される今後の休游地の活用

 さて、郷土料理を夕食で堪能し、温泉で心身ともリフレッシュした今回の旅。予想以上に嬉しかったのが朝食だ。私は旅館に泊まってもトーストとコーヒーの洋食派だが、かなり和食が充実していて、美味しそうなおかずがずらりと並んでいた。前日にはち切れんばかりに夕食を食べていたのを少し後悔したほどだ。

焼酎 自販機    もう1つの後悔が上述した、ロビーにあった焼酎の自販機だ。種類にもよるが100円から購入でき、お湯割り、水割りがあり、濃いのが好みであれば追加してセルフで焼酎を堪能できる。運転をするので飲むことはできないが、買うことはできると思い100円を投入しようとしたが受け付けない。さすがに朝からアルコールとなるとコンプライアンスに抵触するのだろう。あきらめよう。

 チェックアウト前に朝モヤに隠れた施設内を見渡すと周りにかなりの広い土地がある。休游地だ。さらなる集客の強化を図るためにも、この広い土地を活用した設備投資が必要となるだろう。人吉球磨スマートICがすぐ横にあり優位性は保てる。道に迷うことはない。利便性は抜群であり、ここを拠点として均等に九州の各所に足を延ばすことも可能だ。ビジネス、旅行など多彩なシュチエーションに同ホテルは対応できる体制は整えていると感じる。

 地域とともに活況あふれるホテルとなるようこれからを期待したい。

(了)

【道山 憲一】


<INFORMATION>
ホテル華の荘
(はなのしょう)
所在地:熊本県人吉市東間下町字米山3316
URL:https://hotel-hananoshou.com/

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