2024年11月25日( 月 )

安倍派5人衆らに離党勧告と、福岡3者連合による麻生包囲網

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安倍派幹部追放をめぐる争い

「崩れていくときは、あっけないですね」

 こう語るのは閣僚経験もある自民党議員の秘書を務めたA。表では保守的な思想を語っていても、実際の行動とは乖離が見られたという。

「本気で憲法改正を目指していたのだろうか、支持者向けのポーズにしかみえない」

 そのことが誰の目にも明らかになったのが安倍派(清和政策研究会)を中心とした派閥の裏金問題だろう。

 このままでは政権維持も危うくなりかねず、危機感を抱いた自民党執行部は、安倍派の幹部7人を離党させる方針だという。そのなかには、安倍派の次の会長候補と目された5人衆も含まれる。松野博一、西村康稔、萩生田光一、高木毅、世耕弘成の各氏。残る2人は座長・塩谷立氏と下村博文氏である。

 森喜朗元首相はこのなかでも萩生田氏を後継に据えるべく、安倍派内外の根回しに動きまわっていたが、東京地検特捜部の捜査が本格化する前に、東京都内の老人介護施設に雲隠れした。森氏は麻生太郎副総裁に電話をかけるなど、何とかして安倍派崩壊を阻止しようと躍起になっているという。

30年ぶりの宏池会政権

 「安倍一強」は2012年12月の第2次安倍政権発足から20年9月の退陣まで7年以上続いた。2000年4月に森内閣が発足して以降、民主党政権などを除いて大半の時期が清和会出身者の政権であり、「清和会支配」は約20年近く続いた。

 国民の多くがいつまで続くのかとうんざりしていたが、自民党内政争が官邸の圧力で抑えられ、野党の体たらくもあり、安倍派に頭が上がらない状態が続いてきた。

 岸田政権は30年ぶりに誕生した宏池会政権であったが、政権誕生に力を借りた安倍晋三元首相や麻生氏に遠慮して、宏池会らしいリベラル路線を貫けていない。また、現在も派閥の実質的オーバーの古賀誠元自民党幹事長に、苦言を呈されてきた。

 22年7月に安倍元首相が亡くなったことでようやく安倍氏の重しがとれ、岸田首相は旧統一教会問題などを利用して、安倍派の影響力を削いできた。だが支持率が一向に上がらず、麻生氏が茂木氏を後釜に据えようとしたことで、岸田首相は派閥を解散する奇策に出た。

古賀氏らによる麻生包囲網

 麻生・茂木氏らにとっては寝耳に水である。岸田派に続いて、二階派、安倍派、森山派、谷垣グループも解散を決定した。ある情報では、岸田首相は古賀氏に事前に了解を得たうえでの解散の決断だったようだ。二階派の解散は事務総長・武田良太氏が二階氏に進言したときく。

 古賀・武田両氏に加え、森山派の最高顧問の山崎拓氏による福岡3者連合による麻生包囲網の構築だとみる政界関係者も少なくない。

 4月の訪米を花道に退陣するとみられていた岸田首相は、派閥を解体することで麻生・茂木連合の倒閣の動きをけん制し、内閣の延命を狙っているとみられる。

 一方、党内最大派閥の安倍派を根こそぎ潰すことは次の総裁候補の茂木氏にとってもプラスであり、岸田首相と利害が一致する。大宏池会を目指す麻生氏にとっては古賀氏の影響力を削ぐ好機でもある。かつての社会党との連立政権のように、転んでもただでは起きないのが自民党の強かさだろう。

 政治の世界は複雑怪奇で敵味方の思惑が入り乱れており、まさに一寸先は闇である。今日から国会が始まった。自民党主導で政局は動いているが、野党が流れをつくれるのかがカギとなる。

【近藤 将勝】

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