巷の上海経済情報 ここから何を学ぶか?
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上海が中国最大の経済都市であることは間違いない。20年来の付き合いのあるAが上海から来福したので会食をしながら情報交換を行った。いま振り返ってみると中国の経済力が一番輝いていた時期は2008年のリーマンショックのころである。中国政府は日本円で約57兆円の資金を世界経済浮揚のためにつぎ込んだ。おかげで短期間に経済の浮揚を達成できた。世界の救世主となってそれから調子に乗って「一帯一路」を掲げて各国に資金を投入した。しかし、この資金が焦げ付いた。くわえて、コロナ対策に膨大な資金を投入した。上海のロックアウトには莫大な政府資金が投げ込まれた。
この経過を踏まえての話である。Aは会社経営者である。まず不動産の実例から紹介してくれた。10年前に1,000万円で買ったマンションが8,000万円まで値上がりしたが、急遽、現金が必要になったため3,000万円で売却したという。Aは「上海でさえ不動産高騰は望めない。誰もが投資を止めている。マンションの売れ行きはさっぱりだ」と嘆いた。上海の現実がこうであるから全国の悲惨な状況が予想されよう。
次に話してくれたのは、高学歴で地元に帰ってきた若者でも高級取りの職場には入れないという現実についてだ。Aの甥が東京で私立トップクラスの大学院を卒業して上海に帰ってきたのは1年前のこと。故郷で民間企業に就職したが、期待したほどの給料をもらえなかった。上海は物価が高い。家賃の高さも半端ではない。甥は親に無心した。「1年間で30万円足りない。補填してくれ」というのだ。留学した若者たちはそれなりのプライドをもっている。しかし満足できる待遇の就職先が無い。だから実家で不貞寝をしている数が増大しているとか。
最後に新聞紙上に「公務員の給料支払いが6カ月延滞」という記事が掲載されたことについて話してくれた。従来、各地方政府の税収において、不動産取引税が大きな割合を占めていた。そのため、不動産取引がストップすることで、地方政府の収入が途絶えたものと推察できる。「上海市では給料遅配は無いであろう」と思いつつ尋ねてみた。Aは「給料遅配の事実はない。しかし私の身内の公務員は給料を70%カットされている」と述べた。
これらの情報から、読者の皆さんは中国経済の見通しについてどう判断されるだろうか。
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