2024年11月25日( 月 )

北九州市議会建設建築委、超党派で、「門司港遺構移築」関連予算を否決

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 北九州市が同市門司区内に建設を進めている複合公共施設の建設予定地内で発掘された「旧門司駅」に関係する遺構の一部移築をめぐり、北九州市議会建設建築委員会は執行部が提案していた2023年度一般会計予算案における、遺構移築費など委員会所管の予算案を否決した。

 市は、公共施設整備の方針は変えずに遺構を移設することを決めたが、貴重な遺構の存続を求める声は多い。九州考古学会などが武内和久市長に現地保存を求める要望書を提出し、先月24日には建築史学などの専門家でつくる「九州鉄道初代門司駅研究会」(代表・藤原恵洋九州大学名誉教授)が、世界文化遺産の評価を行う諮問機関「日本イコモス国内委員会」(岡田保良委員長)との共催でシンポジウムを行うなどし、移築に反対の姿勢を示していた。

 「日本イコモス国内委員会」は5日、北九州市の移築方針に対し、国と福岡県に遺構保存の協力などを求める文書を送付している。

 こうした声を受けて、市議会においても移築保存の方針を決めるプロセスで議会への説明が不十分との声が広がった。

 無所属の村上さとこ市議が3月1日の一般質問において、「教育委員会には移築予算に関する意見照会をしていない。移築予算の上程そのものが違法ではないか」と問うた際、副市長は「建築都市局の予算であり教育委員会に諮る必要はない」と答弁を行っていた。

 しかし、地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)第29条において、「地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他とくに教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない」とある。文化財保護は教育委員会の所管であることを示すもので、教育委員会の意見を聞いていない市の判断は違法の疑いがある。

 この他、超党派での勉強会が開催されるなどの動きが起こり、今月6日には市の補正予算案から移築保存費を削除する修正動議が、旧民主系の「ハートフル北九州」より提出されていた。

 ハートフルが提出した修正動議には、自民党や公明党などからも賛成の動きがある。補正予算案は8日の本会議で採決される。可決には、定数57人の過半数の賛成が必要であるが、議長は人数に入らず賛成が29人で可決。賛成反対が28人の同数となった場合は、議長も賛否を表明し可否が決まる。

 関係者によると、現時点で修正動議への賛成議員は20数名に達しており、過半数を超える勢いという。

 今回の北九州市議会における動きは、地方議会の役割とは何かを改めて考えるうえで、二元代表制として執行部の議案をそのまま追認するのではなく、チェック機能としての議会の責任を全国に示すものと言えるだろう。8日の本会議で結論がどうなるか、注目したい。

【近藤 将勝】

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