【福岡IR特別連載126】「隠れ本命」の東京都、後出しジャンケンで動き出したか?
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長崎IRはついに年を越えず、旧年中に命運が尽きた。そのことによって、いよいよ九州のIR事業としては唯一、福岡都市圏しか可能性がないことが明らかとなったが、今のところ、長崎IRを建前上支援してきた関係組織への遠慮から、福岡IR誘致に向けた大々的に目立った動きはない。
ところが、ここにきて、もう1つの候補地が、にわかに動き始めたのである。
19日、東京都は築地市場跡地(東京都中央区)の再開発に関する事業予定者について、三井不動産を代表とする企業グループを選んだことを発表した。
事業者の提案概要によれば、約5万人収容の屋根付きスタジアムや高級ホテルなどを建設するとされている。今年度末に都と事業者で基本協定を締結して、2025年度に着工、38年度までの全面開業を目指すとのことだ。
だが、IR関係の動きを長年ウォッチングしてきた筆者としては、この発表を額面通りには受け取れない。
昨年までに横浜市、長崎市をはじめとした各候補地の失敗と、唯一認定を受けた大阪市の状況をしっかり見届けたうえで、絞り込まれた現実的な候補地のなかに大本命として東京がついに動き出したと筆者はみている。
そもそもカジノ誘致の言い出しっぺは、元都知事の石原慎太郎氏であり、東京が大本命であった。しかし、本命であるがゆえに、カジノという「キワモノ」はちょっとしたことで都知事ともども命取りになりかねない危うさをはらんでいる。よって長年鳴りを潜めていたわけだが、いわば予選でいらぬ傷を負う必要がない大本命が、勝負の八合目まできた展開で、ついに後出しジャンケンを始めたということだ。
都知事選の告示日6月20日を控えて、また、中央政局の混乱状況も背景として、現都知事の小池知事をめぐって周辺が喧しくなってきた。前回20年の都知事選では、IR誘致について日和見の立場を取っていた小池氏だが、水面下の動きがどのように表層に反映するのか、今後の展開を注視したい。
【青木 義彦】
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