立憲・岡田、大串両氏が政治資金パーティー中止の英断~旧民主党の失敗を活かせ
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立憲民主党は20日、政治資金パーティー禁止法案を衆議院に提出したが、早くもその矛盾が出ており、内外から批判の的となった。その声を受けて、一部幹部はパーティー中止を言明した。
法案では禁止、幹部は開催に批判
24日、岡田克也幹事長、安住淳国会対策委員長、大串博志選挙対策委員長の3幹部がパーティー開催を予定していることが相次いで明らかとなった。これに対し、党内外から「全面禁止ではなかったのか」「矛盾している」などの意見が続出し、岡田氏や大串氏は、パーティー中止を発表した。
岡田氏は、27日に大阪市で予定していた会費2万円のパーティーを中止し、集めた資金は返金することを明らかにした。また、大串氏も来月17日に東京で予定していたパーティーについて「後援会とも相談の上、開催しないこととした」とのコメントを発表した。
問題が明らかになったのは、23日、大串氏が来月17日に東京都内のホテルで会費2万円の政治資金パーティーを開催すると明らかにしたことからである。立憲が提出した禁止法案との整合性については「法案が通れば(パーティーは)やらない」と発言していた。
24日午前中の特別委員会で、自民党の山下貴司元法務大臣は、立憲にその矛盾を問いただした。
「大串選対委員長だけを責めるつもりはない。他の立憲民主党の幹部の皆さまもおやりになっている。4月25日、ホテルニューオータニで、私が得ている情報では安住淳国対委員長が会費2万円の朝食会をされた」
この指摘に対し、法案提出者として答弁に立った立憲の本庄知史議員は「適法に行われている」と説明。法案の成立・施行前は、党所属議員にパーティーの開催自粛は求めておらず、各議員に委ねるのが「党の方針」と反論を行った。
旧民主党時代の轍を踏むな
立憲民主党の泉健太代表は24日の会見で、政治資金パーティーの禁止法案を提出しながら、党幹部らがパーティーを開催する矛盾について「我慢大会ではない」と述べ、法案が成立して施行されるまでの間は、開催を容認すると述べた。
こうした立憲の姿勢は、国民には明らかな矛盾に映るだろう。旧民主党政権が崩壊したのは、政権奪取にあたりマニフェストとして示したことがほとんど実行できず、党内の勢力争いが激化し、足を引っ張り合う状況があったからである。そのことは、立憲の幹部やベテラン議員はよくご存じだろう。
今回の政治資金問題において立憲は自民党を激しく追及し、政治資金規正法の改正案について国民民主党との共同法案とは別にパーティー禁止の法案を出していた。法案提出者の幹部自身がパーティーを行うのでは、矛盾であり、本気度が疑われかねない。今回の岡田・大串両氏のパーティー中止は、英断と言える。
ただ、岡田氏は「中止は、個人(岡田氏)の判断」とし「仲間の議員がこれからパーティーを開くのがダメではない。政治改革(論議)の決着がつくのを見極めたほうがいい」として、党として一律に禁止したものではないとしており、26日の時点では、安住淳国会対策委員長が、先月25日「朝食会」として開催した他、原口一博議員(佐賀県連代表)も開催予定となっている。
岡田氏は、パーティー開催に対する批判について「日本維新の会とか、自民党とか、一部メディアによる『立憲がおかしなことをやっている』というプロパガンダだ」と反論しているようだが、そうした感情的な反論はかえって、国民の理解を得る上で逆効果ではなかろうか。
政権交代の可能性が出てきた中、自らパーティー禁止法案を出した以上、整合性が問われるような行為は慎むべきだし、生活に困窮する国民が増えた中、「政治家ばかりずるい」と見られ「結局、野党も同じ」と思われれば、政治不信がさらに深くなりかねない。パーティーを中止にすることで立憲の議員も、今すぐ資金に窮するというわけではあるまい。
昔から「武士は食わねど高楊枝」という言葉がある。たとえ台所事情が苦しくとも、「現代の武士」たる政治家と思うならば、まずは政権を奪取するまで、自らを厳しく律し、政治への信頼回復に徹していただきたい。
【近藤将勝】
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