人口減のまちで、どうしても建てたい公共施設~設計業務の期間を延長
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鹿児島県阿久根市で計画が進められていた阿久根市民交流センターについて、阿久根市は設計業務の委託期間を1年延長し、さらに、総事業費の予算段階から見直すという異例の事態に陥った。
阿久根市が、老朽化が進んだ阿久根市民会館を取り壊し、跡地に図書館併設型の「阿久根市民交流センター(仮称)」を新築する計画を打ち出したのは2006年。そして13年12月、阿久根市は、約1億円の委託料で(有)ナスカ(本社:東京都新宿区)と設計業務委託契約を締結。同社は、技術提案において、総敷地面積2万2,019.5m2、建物敷地約5,000m2、図書館約3,000m2、蔵書数10万冊、駐車場300台という案を示していた。
NetIBの取材に対して、市担当者は、「資材の価格高騰にともなう建設費用の増加により、建設費用を予算内に納めるのが困難になった」とコメント。新施設の設計をめぐるナスカとのやり取りのなかで、総事業費が予定をオーバーすることがわかり、計画は見直しを余儀なくされたという。9月25日、阿久根市議会は、建設計画を見直す際の予算目標を20億円にすることとした。
10月22日、阿久根市議会の議員15名とナスカは会合を開き、予算目標を20億円にし、工期を1年延長することで合意した。そのうえで、市民の意見を聞くためのワークショップの日程や、「阿久根市民交流センター(仮称)」の内部仕様を決めていき、併設の図書館を建てるかどうかの議論を行っていく方針だ。
一方、市民のなかには、市民交流センターの建設自体を疑問視する声もある。元阿久根市長の竹原信一阿久根市議は、「そもそも交流センターは必要ではない。市営住宅の整備など、市民の身近な生活を向上させることに予算を使うべき」と主張している。同市の市営住宅は老朽化が進んでおり、木の柱などが補修されずに放置されている箇所を散見する。また、阿久根市は、日本人口問題研究所の予測で、「2025年までに人口が2万人を切る」と予測されている。9月末現在、2万1,975人。来るべき将来を見据えて、市民全体の暮らしを視野に入れたうえで再検討すべきという市民も少なくはない。
【川元 浩明】
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