福岡市BRT導入に不透明さ、西鉄提案を2週間で決定
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福岡市の都心部の博多駅、天神地区と、マリンメッセや国際会議場のあるウォーターフロントを結ぶ「都心循環BRT」として、導入が進められている連節バスが、高島宗一郎市長が4月に記者会見で発表する直前に、約2週間で決定されたことが、NETIB-NEWS記者の情報公開請求でわかった。
BRTとは、バスを基盤とした大量輸送システムのこと。連節バス、公共車両優先システム、バス専用車線などを組み合わせたもので、さまざまなバリエーションがある。「都心循環BRT」は、西鉄バスが連節バス15台を導入して運行し、市がバス停や走行環境整備などを担当するもの。市によると、市の事業費は約3億円。西鉄の事業費は公表していない。「天神ビッグバンを支える新たな交通プロジェクト始動」とPRされている。
福岡市は、都心部とウォーターフロントとの交通アクセス強化を検討し、公共交通幹線軸の1つとして、博多駅、博多ふ頭・中央ふ頭、天神を結ぶ都心部ルートの形成を計画してきた。
方針決定した公文書は、A3資料、A4資料各1枚のほか、起案内容は実質A41枚。そこには「起案の趣旨等」として、「福岡市都市交通基本計画」(基本計画)などで「公共交通による都心拠点間の交通アクセス向上に取り組む」としていることを挙げて、「アクセス向上の手法および方向性や導入スケジュール等について方針を決定する」と書かれている。しかし、基本計画は、基本方針として都心部の交通アクセスの向上、バス専用走行レーン等の走行環境向上などを主な施策に掲げているが、BRTや連節バスについてふれていない。基本計画の実施計画である「福岡市総合交通戦略」(交通戦略)が3月に策定されているが、そこにもBRTや連節バスは掲げられていない。議会にも、市長が記者会見するまで、報告されていなかった。
市公共交通推進課によると、交通戦略策定にあたった協議会でも、具体的には連節バスは議論されなかったという。
導入した先進都市では、BRTのような新たな交通システム導入には多額の費用がかかることから、交通戦略を策定する協議会で議論し、その戦略方針にもとづいて数年間検討している事例がある。そのような先進事例に比べて、交通戦略にもふれられていない手法を導入するのに、わずか2週間というのは異例だ。情報公開請求で開示された文書によると、連節バスによる都心循環BRTの方針を決定したのは3月30日。3月17日に起案され、回覧によって決裁された。決裁権者は市長。
9月補正予算で、ルートの検討などの予算として1,500万円が計上され、市議会の承認を得て、西鉄が購入した2台の連節バスにより、2016年度に運行開始をめざす。
与党系議員の中にも「反対するものではないが、本来、社会実験として試行し、もっと知恵を出してやるべきだ」「議会に報告もなく、市長の会見でぶちあげる手法はおかしい」との意見がくすぶっている。【山本 弘之】
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