2024年11月22日( 金 )

旧統一教会信徒ら「信教の自由」を博多駅前で訴える~一部信徒が取材を妨害

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信徒らでつくる「基本的人権・信教の自由を守る福岡県民の会」は、7日午後、福岡市内の信徒・教会職員を中心に、博多駅前において、国の解散命令請求や福岡市の公共施設利用拒否について反対する活動を行った。

政府の解散請求を批判

    気温35.2度と猛暑日のなか、旧統一教会の福岡県内の信徒や支援者約100人が集まった。「基本的人権と信教の自由を守ろう」という横断幕や「解散命令断固反対」などののぼりを掲げて、現役信徒の2世を含めた9人の信徒が壇上で訴えた。

 「政府による解散命令請求は不当だ」「私たちにとって、文鮮明・韓鶴子ご夫妻は、真の父母であり、『為に生きる』(教団用語で社会奉仕の意味)を実践してきた」と述べ「メディアの一方的な報道で、家庭連合(旧・統一教会)の信徒は人権を侵害されている」と次々に訴えた。また、昨年6月から福岡市が、市の管理する公共施設を教団および関連団体に貸さないことを「不当な判断」と批判した。

 7月8日で安倍晋三元首相の事件から2年となる。教団側は各地でデモや集会を開催しており、北九州市では、先月30日、同市議会による関係断絶決議に異議を唱える信者や賛同者らがデモ行進を行っている。

 福岡県民の会は、8月4日にアクロス福岡で「基本的人権・信教の自由を守る福岡大集会」として、シンポジウムを開催する。シンポジウム終了後、天神中央公園を出発して、福岡市役所をデモ隊で囲むかたちでデモ行進を行う。

    県民の会事務局次長で、実行委員会事務局長・松本隆氏は、「2世問題や献金の問題など反省すべき点はあるが、改善の努力をしてきた」と述べ、「文部科学省は、一方的な全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の被害件数を鵜吞みにしている」としたうえで「信徒が拉致監禁され信仰を捨てるよう迫られていることは、国際的な問題となっており、集会やデモで市民やメディアに訴えたい」と語った。

取材に対して不当な圧力

 松本氏や教団の福岡地域の責任者である朴鍾泌氏を取材していたところ、一部の信徒が、「何をしにきた」と威圧する言動を行い、「お前のせいで世界平和女性連合は、裁判で負けた」「名誉棄損だ、許さない」などと言いながら、取材を遮ろうとしたうえ、手にもっていた自撮り棒を振り上げるなどの行為を行った。

 一部の信徒の行為に対し、教団幹部は「今、きちんと取材を受けて話をしている」と制止していたことは述べておきたい。一方で「あの方は、以前、国際勝共連合の活動をしていて、信徒ではあるが、過激で、県民の会ではない」(松本氏)としたが、妨害行為を行った信徒は、集会に参加しており、以前は、関連団体の福岡県支部の事務局として活動していたことが確認されている。関係ないとはいえないだろう。

 驚いたのは、私を威圧した信徒が、朴氏に対して「韓国に帰れ」と発言したことだ。教団の教義に、日本を悪しざまにいう面があることは知られているが、朴氏は「私の妻は、日本人で、私は、日本を心から愛している」と語っており、一部の日本人信徒の発言は、まさにヘイトスピーチである。

 そもそも、基本的人権の尊重や信教の自由をいうのであれば、不穏当な言動や脅迫とも受け止められる行動を行い、メディアの取材活動の自由を妨害し、主張に圧力を加えるのは、矛盾しないか。

相次いだ警察による霊感商法摘発

 2009年前後、福岡や東京などで、霊感商法に対する警察の摘発が相次いだが、教団側は「一信徒が運営する事業で、教団とは関係ない」としていた。都合の悪い事実は、個人の責任にして、現在、教団は「刑事事件は一件もない」と正当性を主張している。

 だが、福岡の摘発は、警察庁警備局長から国家公安委員会に報告され、「統一教会と緊密な関係がある」と議事録(09年6月4日)にも残されている。当時の警備局長は、後に警視総監や原子力規制庁長官を務めた池田克彦氏である。

 福岡県議会に今年1月、県民から「旧統一教会による被害救済の実効的な取り組みを求める陳情」が提出されている。陳情内容は、警察による捜査を求める趣旨が含まれている。

 デモで福岡市役所を包囲するということ自体、示威行為で、他の団体に見られない戦闘的な体質がある。

 林芳正官房長官は、8日の会見で「政府一丸となり、関係法令に基づいた厳正な対応と、被害者救済に最大限取り組む考えだ」と述べており、言論の自由を超えた行動に対しては、厳しく対応すべきである。

 これまでの活動を総括することなく、教団に批判的なメディアや元信徒などに圧力が加えられ、報道や主張が委縮することになりかねない。それがタブーを生み「宗教は怖い」とあらぬ偏見を生むことになっていることを自覚すべきだ。

【近藤将勝】

政治・行政記者募集

 企業調査会社(株)データ・マックスが手がける経営情報誌『I・B』やニュースサイト「NetIB-News」は、信頼性の高い情報ソースとして多くの経営者にご活用いただいています。メディアとしてさまざまな情報を取り扱っており、国内外や地元福岡の政治動向に関する情報は経営者以外にも自治体組長や国会議員、地方議員などに幅広く読まれています。

 そこで、さらなる記事の質の向上を目的に、福岡の政治・行政、また中央政界の動向などをテーマにオリジナル記事を執筆いただける政治・行政記者を募集しております。

 記事の内容は、インタビュー、政局や選挙などを中心に扱います。詳しくは掲載実績をご参照ください。

 企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。現在、業界に身を置いている方や行政取材に興味がある方なども大歓迎です。

 ご応募いただける場合は、こちら(hensyu@data-max.co.jp)まで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点などがございましたらお気軽にお問い合わせください(返信にお時間いただく可能性がございます)。

関連キーワード

関連記事