2024年12月22日( 日 )

韓国の化粧品輸出額、世界第4位を維持(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

中国市場のシェアは減少し、
米国や日本の市場が伸びている

 韓流ブームによって、韓国化粧品への関心が高まり、品質の高い多様な韓国製品が世界中で人気を集めている。しかし、そのような状況にあって、市場が伸び悩んでいるのが中国市場である。

 中国の化粧品会社が力をつけてきており、中国人は以前のように韓国の化粧品を買わなくなった。韓国の化粧品大手企業が中国で苦戦を強いられている間に、化粧品の中小企業は米国や日本で健闘し、全体的には輸出を伸ばしている状況だ。とくに、米国への輸出額(3億8,000万ドル)は1年前より58.7%も増加した。日本(2億4,000万ドル)も21.7%の伸びを記録した。

 市場が最も大きい中国市場では、6億1,000万ドルで4.6%減少した。韓国企業が中国でシェアを落としている原因はブランドパワーを育てることに失敗したからだと専門家は指摘する。韓国の化粧品は日本でも2023年の市場シェアは21.6%で、2年連続1位の座を守った。00年ごろには韓国化粧品の市場シェアが13位であったことを考えると、驚異的な成長である。22年には韓国からの化粧品の輸入額がフランスを上回って1位になっている。

化粧品製造の世界最大企業が韓国に

韓国コスメ イメージ    韓国の中小企業が化粧品輸出において世界的に通用するようになった背景には、世界最大の化粧品製造会社の存在がある。半導体分野において半導体製造を専門に手がけるTSMCが世界的に有名になっているが、化粧品の世界にも、そのような会社が存在する。

 世界3大化粧品受託専門会社のうち、2社は韓国にある。「コスマックス」と「韓国コルマー」という会社である。「コスマックス」は世界で伸びている需要に対応するため、中南米に新しく工場を建設している。海外の生産拠点は中国、インドネシア、米国、タイ、日本に次いで6番目である。

 昨年末基準で同社の取引先は2,685社であったが、問い合わせが急増し、今年だけで520社以上の新規の顧客が増えると予想される。一方、「韓国コルマー」は前年対比で48.8%増加した253社と新規契約を締結したという。米国など海外の顧客の合計は、今年3,700社を上回ることが予想されている。

 「コスマックス」は年間最大で28億9,900万個、「韓国コルマー」は年間16億200万個の化粧品を生産できる能力をもっている。「コスマックス」と「韓国コルマー」は数十年間、全体の売上高の5~7%をずっと研究開発に投資し、技術力を蓄積してきた。

 「コスマックス」の場合、研究開発部門だけで人数は1,300名以上に上る。韓国の化粧品中小企業は自分で化粧品を企画し、製造専門会社にもって行って相談すれば、原材料の選定を始め、商品の開発全般、それから製造に至るまで製造専門会社のサポートを受けることができる。

 「コスマックス」や「韓国コルマ」は、韓国中小企業の化粧品生産だけを受注しているわけではない。ロレアルなど世界的な化粧品会社も自社の工場を減らし、韓国の2社に生産を委託するようになっている。コスマックスは世界最大の化粧品製造専門会社で、その高い技術力と品質が韓国化粧品の世界輸出の原動力となっている。化粧品の輸出に関わっている企業数は8,000社以上、韓国の化粧品業界は多くの企業がしのぎを削っていて、そのなかから常に革新が起こっている状況となっている。

 価格が手ごろで品質の高い韓国の化粧品が世界で売れているのは、このような環境から生まれた結果に過ぎない。米国でオフラインの販売が増大すると、米国の売上高の増加は世界に影響を与え、その結果、韓国化粧品の躍進は今後も続くことになるだろう。

(了)

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