アビスパ、決定力を欠き苦杯 福岡0-1東京V
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サッカーJ1リーグアビスパ福岡は20日、ホームのベスト電器スタジアムに東京ヴェルディを迎えて第24節の試合を行った。
アビスパはリーグ戦2連敗、天皇杯を含めれば3連敗で迎えたこの一戦。決して内容が悪い敗戦というわけではないので、そろそろすっきり勝ちたいところだ。
対するヴェルディは、今季久しぶりにJ1に戻ってきた、Jリーグ創立以来の古豪。高い個人能力に裏打ちされた巧みなパスワークと攻守に労を惜しまないプレーが特色で、近年は充実した育成組織から数多くのトップ選手を送り出している。J1昇格をはたした今シーズンは手堅い戦いを見せており、ここまで9位につけている。
中位で並ぶ両クラブは、ともにここで勝って浮上のきっかけをつかみたいところ。夏休み期間に入ったベスト電器スタジアムには、1万2千人を超える観衆が詰めかけた。
試合はアビスパのペースでスタート。1トップにFW佐藤凌我を置き、2列目のFW紺野和也、MF重見柾斗と流動的にポジションを入れ替えながら洗練されたパスワークで攻め込む、テクニカルなスタイルだ。なかでもFW紺野は右サイドから中央、逆の左サイドと縦横にピッチを走り、チャンスをつくっていく。
しかし最初にチャンスをつかんだのはヴェルディ。3分、FW木村勇大の左からのクロスにFW山見大登が合わせるが、これはアビスパGK村上昌謙がしっかりセーブ。対するアビスパは、前線まで進出したDF宮大樹の左足のクロスボールにFW佐藤が頭で合わせるが、これは枠を外れる。
試合後の記者会見で、ヴェルディの城福浩監督が「紺野を中心とした攻撃は脅威だったが、しっかり対応することができた」と振り返ったように、ここから徐々にヴェルディペースに。アビスパ守備陣の裏を狙ったロングパスを起点にした攻撃はGK村上を中心とした守りで跳ね返し続けるが、38分についに決壊。最後はMF見木友哉のスルーパスからFW山見がゴールを奪った。
アビスパは後半開始からFWシャハブ・ザヘディを投入して攻勢に転じる。51分にはMF前寛之が強烈なミドルシュート、59分にはFW紺野のフリーキックからゴールを狙うが、いずれも得点には至らない。アビスパはFW鶴野怜樹を投入してシステムを2トップに、さらに終盤にはヘディングが武器のDF小田逸稀を最前線に据えてパワープレーに出るが、どうしてもゴールが遠い。試合はこのまま終了し、アビスパはリーグ戦3連敗。愛媛FCに敗れた天皇杯も含め、7月は公式戦全敗を喫してしまった。
試合後の記者会見で、長谷部茂利監督は開口一番「ダメでしたね」とゲームを振り返った。「私が、選手たちがうまく行動できるようにできなかった。大反省です」と、いつも通り選手を責めることなく、自らに矢印を向けたコメントに終始した。気になったのが、「自分たちがつながって守備できているのか、連動できているのか。それができていないことが増えている」と失点シーンを振り返ったところ。アビスパのストロングポイントであるセンターバックはキャプテンのDF奈良竜樹をひざの手術で欠き、DFドウグラス・グローリも欠場。攻守両面での活躍が必須であるウイングバックではDF前嶋洋太、DF湯澤聖人が負傷と、これまで堅守を支えてきたメンバーが櫛の歯が欠けるように離脱していくなか、どうしても選手同士の連携が煮詰まり切れていない場面が散見されるようになってきた。
「(3連敗は)ショックです。それしかない」と率直な言葉を紡いだ長谷部監督とアビスパにとって幸いなのは、次の試合までに時間の猶予があること。8月7日のアウェー・湘南ベルマーレ戦までのあいだに、どう立て直せるか。アビスパは試練の夏を迎えている。
【深水央】
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