台湾総督府は、馬英九総統が、中国・習近平国家主席と会談すると発表した。中国と台湾の首脳会談は、11月7日にシンガポールで行われる予定で、1949年の分断後、初めてとなる。台湾与党・国民党としては、この会談で「一つの中国」を確認し、中台交流の地固めに入る構えだ。
来年1月に開催される総統選挙で、台湾独立派の野党・民進党が政権交代の可能性が高いことから、国民党では、与党期間中に、中国共産党と組み、既成事実を作り上げてしまおうという狙いも透けて見える。また、就任以降、対中国との交流を進めてきた馬英九総統は会談を実現し「歴史的な偉業をなし得た」という功績を、対外的にアピールしたい考えだ。
台湾メディア関係者は「国民党は、来年の総統選が厳しいと分かっているからこそ『捨て身の奇襲』を仕掛けている。もはや、総統選の勝利狙いというよりは、来年5月の馬氏の任期までにどれだけの『既成事実』を作れるかという魂胆が明確だ」と分析する。
会談の決定に対し、台湾野党側からは強い反発の声が出ている。一部の独立派議員からは「台湾を大陸に売る『売国奴』。台湾から追放してしまえ」といった声すら上がっている。台湾メディア関係者は「与党の描くシナリオは、来年5月までに『中国・台湾統一』が成立させることだ。国民党が最後のあがきとして捨て身の戦略で来ている以上、今後、国がどのような方向で進むか、国民みんなが注視している」と話している。
【杉本 尚丈】
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