2024年09月06日( 金 )

営業力の強化で事業成長 培った実績とネットワークで福岡へ恩返し

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九州住建グループ

 「顧客第一主義」を掲げ、福岡県内で内装工事やリフォーム事業などを手がけてきた(株)九州住建。事業拡大のなかで不動産事業を軸とした事業戦略を構想するようになり、2013年に不動産登記情報の配信サービスを手がけるAssist.(株)、15年に空き家問題の相談などを請け負う(一社)共立を設立。九州住建グループとして、福岡の不動産業界に新たな可能性を示している。

福岡のまちで事業拡大 新たなステップへ

 建築・不動産・リフォーム事業などを手がけ、福岡県糸島市を中心に快適な住環境を顧客へ提供してきた(株)九州住建。地域密着型企業として実績を積み上げてきた同社は、時代に合わせて業態を進化させ、グループ3社体制の企業となった。

笠俊治代表
笠俊治代表

    代表取締役・笠俊治氏が「共進防水」として事業を開始したのは2002年のこと。若くして技術者の世界へ飛び込んだ笠氏は、業務のなかで蓄えた知識や技術を基に防水工事業者として独立。現在の階梯に至るための第一歩を踏み出した。住宅の設備工事などで事業基盤を築き、07年に法人化。その後、内装仕上工事業や建築工事業などの許可を取得し、事業の幅を拡大してきた。また、独立当時から掲げる「顧客第一主義」を実践し、手厚いサービス提供で本社周辺地域の顧客からの信頼を得ることに成功した。

 事業を拡大するなかで、笠氏は不動産に強い関心を抱くようになったという。「手がけた家は最後まで自分たちが見届けたい」という想いが強くなったためだ。そして15年、不動産販売・仲介事業を本格始動した。糸島市以外の不動産物件も積極的に売買・仲介に乗り出し、住み良い環境を提供している。

 九州住建の不動産販売・仲介事業を両輪で支えるのは、いずれも笠氏が代表を務める13年設立のAssist.(株)と15年設立の(一社)共立。豊富なノウハウを備える九州住建、情報配信サービスを手がけるAssist.、不動産や法律の専門家が揃った共立、という九州住建グループとしての盤石な体制を確立した。「ようやく不動産業を軸とするビジネスモデルのスタート地点に立った」と笠氏は語る。

グループ一丸となって社会の課題に挑戦

 これまでECO環境促進事業など社会問題に挑戦する事業を行っていた九州住建。建築や不動産販売・仲介事業に注力するため、20年に太陽光発電システム・オール電化事業を他社へ譲渡したものの、社会問題に対する意識を忘れ去ってしまったわけではない。現在、九州住建グループ3社が取り組む社会問題は「空き家問題」だ。

 総務省が発表した23年の調査によると、全国の空き家の総数はおよそ900万戸。総住宅数に占める空き家率は13.8%と過去最高となっている。しかし、倒壊や治安悪化の危険性があっても行政だけでは容易に対処することができないのが現状だ。都市に人口が集中し、少子高齢化が加速する現代日本の環境は「空き家の培養地」といえるだろう。そこに笠氏は大義と商機を見出したのである。不動産登記に着目した笠氏はデータベースの構築を始め、相続登記情報を配信するサービスを考案。相続登記情報を不動産業者に提供することで、市場流通前の安価な土地を入手する機会を創出することに成功した。

福岡のまちへ恩返しを
福岡のまちへ恩返しを

    また、空き家が発生する主要因である相続トラブルを解消するため設立した共立には相続・贈与専門の相談窓口を設けている。司法書士や税理士、弁護士、不動産業者が相続に関して悩みを抱える顧客のサポートを行い、無為に放置されている土地を市場へ再流通させる。そして、九州住建は再流通した土地での施工を行うのだ。「空き家問題」の解決をグループ3社で一挙に引き受けることが可能な体制が完成した。

 これまで「顧客第一主義」を掲げていた笠氏だが、現在はその信条に変化が生まれているという。「今後はより広域的に、福岡のまち、社会へ向けて価値あるものを提供したいと考えています。これまでに培った実績・ネットワークを生かして福岡へ恩返しがしたいですね」と話す。

営業力強化で成長 カギは社員の「やりがい」

 社会問題に商機を見出した笠氏の外部環境への意識の高さが際立つ九州住建グループ。この3社は福岡の不動産業界に新たな可能性を示した。

 しかし、「どれだけ良質のサービスでも売れなければ意味がない」と語る笠氏は「営業力の強化」を推進している。大手不動産業者で経験を積んだスタッフ2名を新たに迎えたほか、福岡県内だけでなく、関東にも営業先を拡大。デジタルツールを積極的に活用しながら商談を進め、Assist.の会員はここ2年で150~250社ほど増加した。現在およそ450社がAssist.の相続登記情報を活用している。

およそ450社がAssist.の相続登記情報を活用
およそ450社がAssist.の相続登記情報を活用

    社員に対して「目的なくして今日を生きるな」としばしば語るという笠氏。しかし、「働く目的は会社のためでなくていい」と笑う。1人ひとりの社員がそれぞれの夢や目標、目的を叶えられる場所。その場所をつくることが企業の責任であり、企業が成長するためのカギであるのだろう。


<COMPANY INFORMATION>
(株)九州住建

代 表:笠俊治
所在地:福岡県糸島市前原東1-6-3
設 立:2002年5月
資本金:2,000万円
TEL:092-332-1231
URL:https://www.q-j-k.co.jp

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