2024年11月13日( 水 )

アビスパ、堅守取り戻すも勝利は遠く 磐田0-0福岡

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イメージ    サッカーJ1リーグアビスパ福岡は21日、アウェーのヤマハスタジアムでジュビロ磐田との第31節の試合を行った。

 かつて鹿島アントラーズと優勝を争った古豪ジュビロ磐田。失意のJ2降格からわずか1年でのJ1復帰をはたしたが、J1再定着を目指す今シーズンはここまで18位と降格圏に沈む苦しい戦いが続いている。

 苦しいといえば、我らがアビスパ福岡も9戦未勝利と苦境が続く。今季は攻撃面での上積みが見られるものの、けが人続出で持ち味だった堅守に陰りが見える。夏の移籍期間で獲得したDF池田樹雷人(FC町田ゼルビアから期限付き移籍で加入)もデビュー戦で負傷交代を余儀なくされるなど、不運も続いている。暗雲を晴らすには勝利こそが最大の妙薬だが、この試合も直面している苦境を再認識させられるゲームとなった。

 アビスパは、昨年のルヴァンカップ優勝の立役者であるGK永石拓海が先発復帰。磐田DF高畑奎汰が再三放つ強烈なシュートを完璧に防ぎ、さすがの名手ぶりを発揮する。対する磐田のゴールを守るのは、今年41歳になった元日本代表GK川島永嗣。前半終了間際、アビスパFWウェリントンが繰り出したヘディングシュートを好セーブで阻み、守護神健在をアピールした。

 試合は激しい球際の攻防を繰り返した末に引き分け。長谷部茂利監督は切り札のFWシャハブ・ザヘディを投入するギャンブルを避け、守備的な交代で勝ち点1を確実に持ち帰る選択をした。試合後の記者会見で、長谷部監督が「終盤の順位を決めていく残り何試合というなかでの戦いなので、サポーターの方には受け入れてもらって」と語ったように、こうした勝ち点の積み重ねが、シーズン終了時に1つでも上の順位を目指す際の大切な礎となる。仮にギャンブルが失敗して磐田が勝ち点3を手にした場合、今度はアビスパが残留争いに巻き込まれる可能性もあるのだ。長谷部監督らしい、リアリズムのある采配といえるだろう。

 これでアビスパの順位は13位となったが、勝ち点差でみると6位の東京ヴェルディまではわずか8ポイント。2連勝すれば一気に上位進出も見える位置をしっかりキープした。終盤戦に入った今シーズン、残りは7試合。苦しい時期でもきちんと勝ち点を積み上げ、来季につなぐ堅実さこそ、今のアビスパに求められることだろう。

 次節はアウェーでの九州ダービー、サガン鳥栖戦。5連敗を喫して最下位に沈むライバル鳥栖とどう戦うか、アビスパの来季を占う上でも重要な一戦だ。

【深水央】

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