那珂川・武末市長 通算5期目の挑戦(前)
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任期満了にともなう那珂川市長選挙が8月4日に投開票され、無所属現職の武末茂喜氏が、旧・那珂川町長時代から通算で5期目の当選をはたした。2018年の市制施行後、初となる選挙戦を制した武末氏に、今後の市政運営について聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役会長 児玉直)人口増加策の展開で、念願の単独市制施行へ
──旧・那珂川町長時代から数えて5期目の当選となります。これまでを振り返って、いかがでしょうか。
武末 2008年8月に行われた選挙で初当選し、旧・那珂川町長に就任したのが55歳のときで、これまでに4期16年を終えたところです。在任期間中の18年10月には、念願の市昇格をはたし、那珂川市になりました。
実は、このときの市制施行は2度目の挑戦でした、というのも、単独市制施行の要件は、5年ごとの国勢調査(確定値)で人口5万人を達成しなければならず、1度目の2010年国勢調査では5万人まであと220人足りずに涙を呑んだ経緯があります。そこで1度目の反省を基に、15年国勢調査で何としても人口5万人を達成すべく、人口のさらなる増加と定住化を推進するための人口増加策を展開しました。なかでも注力したのが、子育て支援です。
まず、認定こども園の創設に力を入れました。もう最近はあまり耳にしなくなりましたが、当時は待機児童の増加が社会問題になっており、共働き家庭やひとり親家庭など、働くために子どもを預けたくとも預けられないケースが全国で発生していました。そのような方々が安心して子どもを預けることができるように、幼稚園、保育所、認定こども園を充実させる必要があり、現在は小規模を除いて市内に計12施設まで増えました。これが、まず第一に取り組んだことです。
ほかにも、移住してくる若い人たちは、賃貸のアパートやマンションに住む方もいますが、なかには那珂川市に住み続けたいと分譲マンション、あるいは戸建を取得したいという方も少なくありません。そこで、移住して不動産を購入する人に対しての住宅支援策を打ち出しました。固定資産税を、いったんは納めていただくことになりますが、5年かけてお返しするというものです。
こうした施策により、15年国勢調査(確定値)で人口が5万人を超え、合併することなく単独で那珂川市となることができました。福岡県での単独市制は古賀市以来で、県内29番目、全国では792番目の市となりました。全国の市長会で単独での市制施行について驚きの声が挙がったのを、今でも鮮明に覚えていますし、嬉しかったですね。
区画整理と新幹線で、まちのかたちを形成
──今の那珂川市は、どのようにしてかたちづくられたのでしょうか。
武末 大きく変わったのは、1970年に新都市計画法により市街化区域、市街化調整区域の線引きが決定し、74年に土地区画整理事業に着手しました。それにともない人口が飛躍的に伸び、現在の碁盤の目のような道路と住宅ができました。これが1つです。
もう1つは、やはり新幹線の存在でしょう。もともとは山陽新幹線博多総合車両所へ博多駅から回送列車が走っていただけだったのを、その回送列車を利用した旅客輸送ができるよう、90年4月にJR博多南駅が開業しました。これによって当時の那珂川町は念願の鉄道駅を手に入れ、鉄道を利用した博多への通勤・通学が可能となりました。これがまちの発展にとって、何より大きかったと思います。この2つが、今の那珂川市をかたちづくったといっていいでしょう。──市制施行後、現在の人口についてはいかがでしょうか。
武末 今年8月末時点で4万9,456人と、現在は5万人をわずかに割っているのが現状です。子どもを生んで育てていらっしゃる方や転入者ももちろんいらっしゃいますが、そうした増加する人数より、亡くなられる方が多い、いわゆる自然減です。今、市民全体の24.9%を65歳以上の方が占めています。ただし、この比率は高いと感じられるかもしれませんが、県内の自治体では若いほうです。
また、那珂川市の近年の傾向として、たとえば高齢者世帯が亡くなられて空き家になると、その空き家を若い人がすぐに購入しているのです。広い敷地をもつ空き家が多く、家屋を解体後に土地を2つに分割して、2世帯が入るケースも多く見られます。
(つづく)
【文・構成:内山義之】
<プロフィール>
武末茂喜 (たけすえ・しげき)
1952年11月、福岡県筑紫郡那珂川町(現・那珂川市)出身。福岡大学を卒業後、77年4月、那珂川町役場に奉職。2008年8月に行われた町長選挙に立候補し初当選。18年10月、市制施行にともない初代・那珂川市長に就任。24年8月に通算5期目の当選をはたす。月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?
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