2024年10月16日( 水 )

反自公陣営に必要な選挙協力

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は野党共闘の重要性を指摘する10月13日付の記事を紹介する。

自民党に対する逆風が吹き荒れる選挙。自民党は統一協会問題と裏金問題で国民の強い批判に晒されている。総選挙での政権交代の危険が高まり、岸田氏は辞任を決断。選挙に向けて党の顔を変え「刷新感」を打ち出すことを決めた。

新党首に石破茂氏が就任。しかし、逆風は激烈だ。本来は政権交代の気運が一気に高まる局面だが、そうはなっていない。野党第一党の立憲民主党も凋落の一途をたどっている。

立憲民主党凋落の始動は2021年10月総選挙。この選挙戦のさなかに枝野幸男氏が野党共闘を否定した。共闘の対象は国民民主と連合だとした。共産、社民、れいわは共闘の対象ではないと明言した。これを契機に立憲民主党凋落が始動した。

この選挙で共産党との共闘を推進したから敗北したというのは事実に反している。自公政治打破を希求する主権者は共産党を含む野党共闘を支援した。立憲民主党は共産党の選挙協力に支えられて一気に野党第一党の地位に押し上げられた。ところが、枝野氏はその功労者である共産党に対して共闘の対象ではないとした。

これを契機に野党共闘を支持する主権者が一斉に立憲民主党から離反した。本ブログ、メルマガは、これを背景に立憲民主党が21年総選挙で敗北することを予測。その通りの現実が生じた。


2021年11月2日付ブログ記事
「枝野立憲が大惨敗した本当の理由」
https://x.gd/d3rcl

11月1日付メルマガ記事
「立憲枝野代表の引責辞任不可避」
https://foomii.com/00050

立憲民主党が共産党との共闘を推し進めたために敗北したのではない。真逆だ。立憲民主党が共産党を含む野党共闘を否定したために惨敗したというのが真実である。選挙戦のさなか、枝野幸男氏は次のように述べた。

「〈野党共闘〉というのは皆さんがいつもおっしゃっていますが、私の方からは使っていません。あくまでも国民民主党さんと2党間で連合さんを含めて政策協定を結び、一体となって選挙を戦う」

共産党を含む野党共闘を否定して国民民主党、連合とだけ共闘する方針を明言した。この路線明示で野党共闘支持の市民が一斉に離反し、立憲民主党は惨敗した。

21年総選挙敗北の責任により枝野氏は辞任。後任代表に泉健太氏が就任したが、泉氏は反共路線をより尖鋭化させた。その結果、22年7月参院選でさらなる大惨敗を喫した。この延長線上に現在があることを忘れてはならない。

今回、立憲民主党代表に野田佳彦氏が就任した。野田氏は「消費税増税を認めない」という最重要公約を踏みにじって消費税大増税法制定を強行し、民主党を分裂させた挙句、自爆解散で民主党を破壊した人物である。この人物が登場して石破首相の公約違反を攻撃しても誰の心にも響かない。

この野田氏が反共路線を明確に打ち出して総選挙に臨んでいる。共産党は立憲民主党が反共路線を鮮明に打ち出したことを受けて、多数の小選挙区に候補者を擁立する。当然の対応といえる。小選挙区制の下では権力に立ち向かう側が結束しなければ勝利は難しい。

自民党に逆風が吹き荒れて政権を奪取する最大チャンスだが、野党側がバラバラになれば選挙に勝利することは難しいだろう。そもそも論を提示すれば、主権者にとって重要なのは「政策」であって「政局」ではない。立憲民主党が提示する政策が自民とほぼ同一であることを踏まえれば、この政党を基軸に野党共闘を構築すること自体が難しい。

反自公の政策を共有する市民と政治勢力が連帯・共闘しなければならない。自公政治に対峙する主権者が求める政策は以下のもの。

1.原発廃止
2.消費税減税・廃止
3.安保法制廃止
4.地位協定抜本見直し

これに対して野田立民の政策はどうか。

1.原発容認
2.消費税減税反対
3.安保法制容認
4.地位協定放置

である。これは自民とほぼ同一。立民は第二自民を目指しているわけで、維新や国民民主と共闘するのが適切だ。

原発廃止、消費税減税・廃止、安保法制廃止、地位協定抜本改正の基本路線を明示する政治勢力と市民の連帯を構築する必要がある。総選挙ではこの基本政策を軸に選挙区ごとに支援候補を定める。その支援候補に投票を集中させることが必要だ。

基本政策を共有できるのは共産、れいわ、社民と立民候補者の一部である。「ガーベラの風」では選挙区ごとに支援候補を定めたいと考える。その際にいくつかの問題点を見出すことができる。それは、れいわと共産がいくつかの選挙区で重複立候補していること。基本政策路線に大きな相違がない。本来は十分な協議によって候補者調整をすることが望ましい。

沖縄1区などは共産党が保持する小選挙区議席である。「オール沖縄」の対応を含めてれいわは共産党と協力することが望ましく、本ブログ・メルマガでも見解を表明した。その結果、れいわが候補者を取り下げることを公表したが、これを大いに評価し、歓迎するとともに、両党の積極的な選挙協力を期待したい。

単一の野党が単独で政権を樹立することは不可能である。政権を奪取するには基本政策を共有する政治勢力が共闘する必要がある。基本政策を共有しない勢力が政権奪取のためだけに共闘するのは正道ではない。「野合」と表現されるものだ。とりわけ、原発、消費税、安保法制の問題における基本政策の共有は重要だ。

逆に、これらの基本政策を共有する政治勢力は、「小異を残して大同につく」共闘を検討すべきだ。双方が候補者を擁立すれば勝利の可能性を著しく減じてしまう。政策を基軸に党派の壁を越えて共闘する。これを主導できるのは主権者である。これが「ガーベラの風」の考え方。

総選挙出馬見込み者のリストを見ると多くの選挙区で立民と共産の候補者が出馬する状況。共産党の支援なしに小選挙区で勝利できる候補者が立民にどれだけいるのか。政策を基軸に考えれば、立民と共産の候補者が出馬する選挙区では共産党候補者を支援することが適正になる。立民は凋落の坂道から脱出することが難しいのではないか。立民が目指すのは日本の二大勢力体制を自公と第二自公にするというものではないか。これこそ、日本の宗主国米国が希求してやまない体制だ。

日本に必要不可欠なもの。それは自主独立を希求する政治勢力。この第三極を確立して政権奪取まで育て上げることが最重要課題だ。

※続きは10月13日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「反自公陣営に必要な選挙協力」で。


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