大激戦の福岡2区 自民鬼木氏・立憲稲富氏の5回目の対決(後)
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衆院選が15日公示され、27日の投開票まで12日間にわたる選挙戦に入った。福岡県内11選挙区のなかでも大激戦となっているのが、福岡市中央区・南区・城南区を選挙区とする福岡2区である。2012年の衆院選以来、今回で5回目となる自民・鬼木誠氏、立憲(旧・民主)・稲富修二氏の対決となる。派閥の「裏金」問題など、自民に逆風が吹く中での選挙戦の行方を探る。
組織動員が目立った鬼木氏の出陣式
15日午前9時半から、警固公園(福岡市中央区天神)にて小選挙区での5回目の勝利を目指す自民党の鬼木誠氏の出陣式が行われた。平日の午前中にもかかわらず、出陣式には、原口剣生自民党福岡県連会長をはじめ、多くの支持団体・支持者が集まり、特にスーツを着用した人の姿が目についた。
選挙対策本部の顧問に、山崎拓元自民党副総裁、選対本部長には、南区選出の加地邦雄県議が就任した。加地氏は「自民党にとって過去にない厳しい選挙である」と訴え、「今後も自民党が日本を担わせていただけるかの戦い」と語った。
立憲・稲富氏の集会と異なるのは、鬼木陣営は組織動員が目立つという点である。過去4回もそうであったが、鬼木氏の出陣式には自民党を支持する各種職能団体ののぼりがいくつも掲げられている。福岡県看護連盟や社会保険労務士会、土地家屋調査士会など色もデザインもさまざまなのぼりがみられ、一目で組織動員であることがわかる。また、17年、21年の衆院選と連続して参加している人の姿も確認できた。
21年の衆院選では、選挙スタッフが「マスクの着用をお願いします」とのプラカードを掲げて呼びかけていたが、今回はコロナ禍の収束で、マスク着用については任意となっていた。
今回は、コロナ禍が明け、経済が活発に動き出して最初の選挙であり、本来であれば与党自民党にとって有利に働くはずだが、派閥の政治資金規正法違反事件で逆風が吹き荒れている。
公明党からにじむ警戒感
出陣式には、友党である公明党の国会議員や市議も参加していた。挨拶に立った同党の吉田久美子氏(前衆議院議員)は、「防衛副大臣を何回もされていらっしゃるので、どちらかというとタカ派のようなイメージがある方がいるかもしれないが、そもそも政治家を目指したのは、学校の先生から戦争を起こすのは悪い政治家なんだときいて、自分は戦争を起こさない政治家にならないといけない、と一途に政治家を目指したことをきいた」と述べ「平和の党・公明党としても一緒にやっていける方と強く確信した」と牽制も込めて激励した。吉田氏の発言に、参加していた支持者からは、苦笑いや緊張した様子などが見られた。
鬼木氏は、「自公連立政権は今年で25年になるが、意見が違う政党だからぶつかりあうこともあるが、そのブレーキとアクセルが補い合って、民意に近い政策に収斂していく」と自公連立の意義を述べつつ、「裏金に染まっていないからこそ新しい自民党をつくっていかなければならない」と強調した。
公明党の支持団体である創価学会関係者によると、選挙前、鬼木氏の保守的思想を警戒する声もあがっていたという。吉田氏があえて、「タカ派」という表現を使ったのは、鬼木氏やその支持層を危惧する組織内の声を伝えるものだったと推察できる。
鬼木氏らから言及はなかったが、問題は裏金事件ばかりではない。一昨年の安倍晋三元首相の事件で、自民党と旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との接点が問題となり、自民党の点検で、鬼木氏も関連団体の集会への参加や選挙支援を受けたことを認めている。
公明党としては、旧統一教会問題により「政治と宗教」という微妙な問題にスポットがあたること自体が、選挙に影響しかねず、触れたくないというのが本音であろう。
福岡2区では、今回を含めて5回の選挙で自民と立憲(旧・民主)の候補者が激しく競り合ってきたが、無党派層が多い地域での選挙戦は両陣営にとって厳しい戦いとなる。そうしたなか、公明票の動向に注目が集まっている。
自民党が非公認とした旧安倍派や旧二階派の議員の推薦について、公明党では選挙区ごとに対応が分かれた。「政治とカネ」の問題に公明は厳しく対応してきた経緯がある。鬼木氏は旧森山派に所属していて直接関係なかったとはいえ、投票行動に与える影響は少なからずあるだろう。
福岡2区には、この他、日本維新の会新人の本司敬宏氏、共産党新人の松尾律子氏、参政党新人の黒石裕子氏、無所属新人の沖園理恵氏も立候補している。
(了)
【近藤将勝】
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