長期資産価格循環 と“日本株持たざるリスク” ~オルカンより日本株が魅力的だ~(後)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は10月15日発刊の第366号「長期資産価格循環 と“日本株持たざるリスク” ~オルカンより日本株が魅力的だ~」を紹介する。中国不動産バブル、
住宅保有の国有化に向かわざるを得ないだろう(つづき)不動産需要を振興するために5月にはローン金利の引き下げや頭金比率の引き下げ、代金前受済みの未完成物件の完成のための不動産業者への融資拡大、売れ残り住宅在庫の政府買い取りと公的住宅への転用、などが打ち出されたが、その規模は小さく焼け石に水であった。10月には国債増発による国有企業への資本増強や不動産業界の支援が発表されたがその規模は市場期待(2~10兆元(40~200兆円))には遠く届かないようである。
雇用不安が高まり、不動産価格の先安観の高まっている状況では、国民は消費を切り詰めざるを得ず、それがさらなる経済収縮を招いている。社会保険・年金未整備の中国では、唯一庶民が頼れるものは貯蓄のみなのである。なお中国の個人資産の7割が不動産、中国人の持ち家比率9割と言われており、バブルが本当に崩壊したときの家計の損失は公的部門が被らざるを得ないだろう。
日本株、全投資主体が一斉に買い始める
ウォール街に「FOMO」という言い回しがある。Fear of Missing outの略で、取りのこされることに対する不安を意味する。今の日本株式市場はまさにそのような状態に入りつつあると予想する。日本株のばかげているほどの割安さにようやく人々は気づき、日本株をもたざるリスクを真剣に考えざるを得ない。
1)外国人投資家→昨年来世界主要市場で最も値上がりした日本株比率を高めるどころかほぼすべてを売ってしまった。(図表14参照)
2)個人投資家→NISA改革が始まり投資ブームが起きている、2024年1~6月で10.1兆円が買い付けられた。年間では20兆円、前年比4倍増のペースである。今のところこの大半が海外投信だが、日本株への急シフトが起きるだろう。
3)企業→PBR1倍以下の是正を求める金融庁、東証に押されて自社株買いに走っている、年間20兆円、前年比倍増ペースが続いている。
4)年金など機関投資家→インフレ定着、金利上昇の下で日本国債投資比率の引き下げと株式シフトを余儀なくされている、政府による国公共済(KKR)など公的年金運用の積極化の要請など、が浸透していく。
このようにすべての投資主体が日本株に向かって押し出されていくだろう。日本で株式主体の資金運用体制が怒涛の勢いで始まることは疑いない。植田ショック、石破ショックで足止めを食らった日本株投資家の再度FOMOを思い知らされるだろう。
2点、重要だと思われることを付記したい。第一は、日本株のリスクは一にも二にも時期尚早の金融引き締めである。図表17に見るように日本株式のリスクプレミアムは、米国に比し著しく高い。その意味するところは、米国とは異なり日本の中立金利はいまだに著しく低い、ということである。尚早の利上げは命取りになる。植田ショックの教訓を胸に刻むべきである。第二に米国金利高止まりは円安の継続を意味する。それは日本株高要因となる。
(了)
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