2024年10月18日( 金 )

高市前経済安保大臣の“応援演説行脚”は石破降ろしの布石か

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 高市早苗・前経済安保大臣が衆院選(27日投開票)における裏金議員らの応援のために全国行脚をしている。公示翌日の16日には、新潟2区の細田健一候補を皮切りに、新潟5区の高鳥修一候補と長野1区の若林健太候補の応援で飛び回った。夕刊紙2紙も「高市早苗氏『自民裏金議員』応援行脚の狙い」(17日の日刊ゲンダイ)。「高市早苗氏の応援演説“100キロ行脚”に聴衆殺到」(同日の夕刊フジ)とそろって報道した。

 その狙いについて高市氏は「特別な意図はございません」と日刊ゲンダイの直撃取材に対して答えたが、応援された候補の受け止め方は違った。高市氏が駆け付けた上越市での総決起集会で高鳥氏は、総選挙中なのにトップ交代の必要性を強調しつつ、高市首相誕生への思いを次のように語ったのだ。

 「(総裁選で積極財政を訴えたのは高市氏だけと紹介したうえで)公共事業は悪ではありません。ここにしっかりと投資をすることです。いまどうなっているのか。『お金がないからできません』。いま、たとえば、耐用年数のすぎた橋、あるいは危険なトンネル、あるいは河川の改修。お金があればすぐにでもやりたいです。でも着工ができない。進まない。お金がなかったらやるべきなのです。そして地方の皆さんに元気に働いて稼いでいただく。それが税収となって国に返っていく。この力強く経済の好循環をつくることが、これが地方のいまの停滞感を吹き払うカギだと私は思っています。

 それには私1人で声を上げてもダメなのです。トップが代わらないといけない。トップに国を愛し、そして我が国の経済を力強く回していく高市早苗さん、私は何が何でも総理大臣になってもらいたいと思います(大きな拍手)」。

高市早苗・前経済安保大臣    続いて高市氏が登壇。「日本列島を強く豊かに、高市早苗でございます」と切り出し、「今まで1つひとつ、地元のためにも国家のためにも結果を出してきた高鳥修一です」「真剣に地元を愛している高鳥修一さん、働かせてやってください」と支援を呼びかけたのだ。

 また高市氏は、総裁選で選対幹部を務めた高鳥氏から「貴重な助言をいただいた」と感謝した。

 そんな盟友関係にある高市氏と高鳥氏の思惑が透けて見えてくる。高市支持候補を1人でも多く当選させ、総選挙後、機を見て石破降ろしに動くというわけだ。

 総決起大会後、囲み取材に応じた高鳥氏に聞いてみた。

 ──「トップ交代」と仰いましたが、選挙が終わったら石破降しに動くこともあり得ると。

 高鳥 いまのところは断言はできない。ただどういう動きになるのかは、いま予測するのは難しいと思う。まず議席の結果がどうなるのかも私には分からないし、だから情勢を見ながらということになると思う。

 ──「トップ交代」という言葉にかけた思いは、(総裁選で高石氏だけが訴えた)積極財政じゃないとダメ(ということか)。

 高鳥 「トップ交代」と言ったのかどうか、ちょっと私、正確に思い出せないが、しゃべっているときはけっこう熱くなっているので、そのときにぽっと言葉が出たことはあるかもしれないが、いずれにしても私は積極財政をしてくれるリーダー、そして国家観でも一番近いリーダーは高市さんだと思っているし、応援の依頼が殺到しているということで、そういう期待は高まっているのではないかと思う。

 ──「石破さんではダメだ」という意味を込めて、勢いもあってトップ交代と言ったのではないか。

 高鳥 自分の党の党首、総裁だから「石破さんがダメ」とは言わない。「ダメだ」とは言わないが、私は高市さんをこれからも応援したいと思う。

 ここで高鳥氏は「正確に思い出せない」と述べたので囲み取材後、発言内容(音声データ)を確認したが、先に紹介した通り、「トップが代わらないといけない」と明言していた。総選挙後の石破降ろしを予告したに等しいのだ。

 今回の総選挙の注目ポイントは、自公の過半数割れで政権交代が起きるのか否かだけではない。石破降ろしに賛同する高市支持候補が何人ぐらい当選するのかにも目を向ける必要があるのだ。総選挙の結果が注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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