需要減少で低迷する印刷業界~忍耐か変革か(4)
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淘汰を迎え、変革へ
大企業、印刷会社の集中する東京の印刷会社では、製版・製本といった業務を近隣の他社に任せる、いわば分業体制をもって効率的に事業を進めていた。しかし、地方の印刷会社においては、製版・製本会社が近隣にあると限らない。そのため、顧客から寄せられる要望に応える形で設備を整え一貫工程を可能としてきた。短納期や低コストが求められるいま、この点において地方の印刷会社は優位にある。
しかし同業他社との競争は避けられない。データ・マックスが独自に調査した、九州エリアを中心とした印刷会社30社のなかでは、Web事業を展開し、得意とするカタログ作成や購買客に対する印刷物でのきめ細やかなフォローを武器に、通販事業に乗りだす傾向がみられた。また、印刷需要の関東一極集中を踏まえ、ターゲットを絞り込み、東京営業所に注力する企業も出てきている。自社でさばききれない仕事を他社へ「横流し」するというかつての慣習は、もはやなくなりつつあるほどに差し迫った状況にあり、策を講じる必要性が強まっている。
もはや印刷機を回せば回すだけ利益が出た、と言われるような時代ではなくなった。しかし、印刷需要は低迷の一途をたどっているとはいえ「紙の需要が全くなくなる」ことは考えにくい。「他社が潰れるまで耐えれば勝機を見出せる」と忍耐で乗り切る道もある。
一方、生き残りをかけ価格競争に耐える地方の印刷会社の悲鳴が聞こえるなか、こうした状況を「一つのチャンス」と捉える向きもある。「今までは印刷機が回っていないことをロスと捉えられていなかった。コスト意識を高め、効率化をはかる。当たり前のことだが、社員の力を底上げする絶好の機会でもある」。淘汰はすでに始まっており、これを生き残る変革が必要な時期を迎えている。
(了)
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