2024年12月04日( 水 )

裏金問題告発の泉田元新潟知事がなぜか自民党非公認

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裏金問題告発の泉田元新潟知事がなぜか自民党非公認    「裏金問題にまみれた自民党を生まれ変わらせる」という期待を担って誕生した石破政権(首相)だが、総裁選中の正論撤回が相次いであっという間に失速、自公過半数割れの可能性も出てきた。 

 そんな“言行不一致内閣”を象徴するのが新潟4区。裏金問題を3年前に告発した泉田裕彦・前衆院議員(元新潟県知事)が公認されず、無所属で出馬することになったためだ。本来なら「裏金問題から決別したクリーンな石破自民党」を体現する目玉候補になってもおかしくないのに、正反対の対応になってしまったのだ。

 公示翌々日の10月17日、小千谷市内でマイクを握った泉田氏は、裏金要求場面を再現するモノマネをしながら、今回の総選挙の一大争点が裏金問題であると訴えていった。

 「今回の選挙のテーマ、最大の争点は何かというと、裏金問題を含む政治改革をどうするのか。これが大きな争点の1つということでございます。3年前のことなのですが、実は私、裏金の要求を受けました(口調を変えて当時言われた内容を再現)。『あんたと俺しか知らんかね。秘書にも言っちゃいかん。2~3,000万』。こういう要求を受けました。そして私、政治家として絶対に守らなければならない一線をもっています。違法行為をしないということです。しようがないので新潟県連にお願いをしました。『裏金要求をされて困るので、何とかしてほしい』というお願いをしました。そうしたら返ってきた言葉、返事が『本件、対応しない』と。残念ながら相手にしてもらえませんでした。違法行為をなおして、ちゃんと皆さんの声が届く政治をしようというのに、なんで対応してもらえないのだろう。そのときにはよく分からなかったのですけれども、後になってよく分かりました。実は、県連会長自身が裏金をつくっていたという話だったのです」

 裏金問題を告発した泉田氏だったが、新潟県連の対応は冷たく、逆に敵対視されてしまったのだ。泉田氏はこう続けた。

 「従って今回、なんで無所属で厳しい選挙に立候補したのかというと、県民の皆さんに聞いてみたいと思っているのです。お金で動く政治でいいのか。それとも、皆さんの声で動く政治がいいのか。どっちが良いのか聞いてみたいということで、無所属で立候補をさせていただきました」。

 街頭演説後、泉田氏を直撃、声かけ質問をした。

 ──裏金問題、初めて、いち早く告発したのに。

 泉田 そう、はい。

 ──「古い自民党から生まれ変わる」と石破さんが言っているわけですから、泉田さんが目玉候補になってもおかしくないのではないか。

 泉田 努力したらしいのですが、石破さんの意見が通らないのだと思うのですよ。そんな感じではないかと思っていますので、私は頑張りたいと思っています。

 ──途中まで石破さんは(泉田候補を)公認候補として(出馬させようとしたと)。

 泉田 細かいことは言いませんが、必ずしも石破さんの意見が通らないという状況になっているというのは間違いないと思います。

 ──(泉田候補は)一番、石破さんに近いような存在。あえて正論を言う(という共通点がある)。

 泉田 細かいことは言いません。選挙が終わったら言ってもいいかな。そういう状況ですので。

 新潟4区では別の候補が自民党公認となったが、小選挙区が調整困難だったのなら比例上位で泉田氏を処遇する選択肢もあったはずだ。

 しかし実際には、泉田氏は自民党公認が得られず、無所属から出馬することになった。「石破首相の意見が通らない状況にある」という泉田氏の指摘が、石破政権(首相)の限界を物語っている。総裁選中の正論が党内力学によって押しつぶされ、石破カラーを打ち出せないようなのだ。

 これでは国民の支持が得られるはずがない。自民党が総選挙で惨敗、超短期政権となる可能性が高まりつつあるのだ。

【ジャーナリスト/横田一】

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