2024年10月28日( 月 )

2025年は危機の年:ノストラダムスは第3次世界大戦の勃発を予言(中)

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国際未来科学研究所
代表 浜田和幸

台湾 イメージ 中国は国内の経済問題から国民の目を反らそうとするかのように、軍事力を強化しているため、バイデン政権はウクライナやイスラエルへの軍事支援に加えて、台湾への武器の供与や対中包囲網を形成するための合同軍事演習を強化しています。

 当然の如く、日本に対しても、台湾有事を想定し、韓国、フィリピン、オーストラリアなどを含めた安全保障の枠組みづくりへの参加を求めています。はたして、台湾有事は起きるのでしょうか。日本の海上自衛隊は特別警備隊を初めてインド太平洋地域に派遣しており、緊張感が高まる一方です。

 前駐中国大使であった垂秀夫氏は「短期的に中国が武力行使に踏み切る可能性はほとんどない」と断言。また、8月に開催された恒例の「北戴河会議」では長老たちから「国内経済の立て直しに注力せよ」と問い詰められた習主席とすれば、経済制裁の対象になりかねない台湾への軍事侵攻には慎重にならざるを得ないはず。しかし、中国の行動には西側の理解を超えるような場合も多々見受けられます。

 そうした背景もあり、海上自衛隊は「特別警備隊」をインド太平洋地域に派遣し、島嶼国の保安機関に対して不審船などへの立ち入り検査を含む能力向上のための支援を行うと発表。この「特別警備隊」は01年に米海軍のネイビーシールズを参考に発足したもので、陸海空の全自衛隊にとっては初めての特殊部隊です。広島県江田島に拠点を構え、隊員は100名ほど。抑止力の強化と危機対応に万全を期そうとする動きに他なりません。

 本年5月には特別警備隊の隊員が海外に派遣され、複数の太平洋島嶼国からの要望を受け、それぞれに数日程度の支援計画を実施。この特別警備隊は21年にはグアム島および同島周辺海域で米海軍太平洋特殊コマンド、インド海軍特殊作戦部隊と合同での戦術訓練を実施するなど、同盟国との連携を強化しています。

 この海域での資源開発には中国も日本も以前から関心を寄せてきました。とくに西フィリピン海にはサウジアラビアに匹敵する大量の石油や天然ガスの存在も確認されています。こうした海洋資源の非合法な開発や一方的な収奪を防ぐことは、今後の重要なテーマになるはずです。

 幸い、今年4月21日~24日に中国国防省が主催し、山東省青島で開催された「西太平洋海軍シンポジウム」には、米国、ロシア、日本など29カ国の代表団が参加し、偶発的衝突のリスク回避策が議論されました。また、9月12日に北京で開幕した「香山フォーラム」には米中に加え日本など100カ国以上から安全保障の専門家が参加。その後、米中の国防当局による「防衛政策調整協議」も開催されました。また、本年12月には北京で日米中を軸にした国際安全保障セミナーが予定されています。こうした機会を通じて相互信頼の増進が図られることを大いに期待したいものです。

 「ワシントン・ポスト」紙によると、米軍はフィリピン国内に新たに4つの軍事基地を使用する許可を得ています。一方、ロイター通信は、マニラとワシントンがフィリピン最北端のバタネス州に港を開発するための協議を開始したと報じました。この地点は台湾からわずか200kmの近距離にあります。要は、米国は東シナ海や南シナ海において緊張が高まっていることを背景に、同盟国の抑止力を強化するとの名目で、間接的にそれらの地域に軍事的に介入しようとしているわけです。

 しかし、注視すべきは、こうした表面的な動きとは別に、米国は中国との連携にも関心を寄せているということです。たとえば、しばしば中国を訪問していたイエレン財務長官は「中国と米国で世界を二分すれば良い」との大胆な提案を繰り広げていたものです。いずれにせよ、米国の本音はあくまで自国の産業最優先であり、中国の脅威をことさら煽ることで米国製の武器を日本やフィリピンに大量に売りつけることにあることは疑いの余地がありません。その点、日本はいいカモにされていると言っても過言ではなく、軍事に強いことを売り物にしてきた石破首相には毅然とした対米政策を進めてほしいものです。

(つづく)

浜田和幸(はまだ・かずゆき)
    国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

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