2024年12月04日( 水 )

八女市議会・ハラスメント防止条例を求める請願、1票差で否決

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 福岡県八女市議会(橋本正敏議長)は11月27日午前に開かれた本会議で、3月議会において八女市や久留米市など筑後地区の住民から提出されていた「あらゆるハラスメントの防止を求める条例制定を求める請願」を僅差で(賛成10、反対11)で否決した。

 討論に先立ち、所管委員会の服部良一総務文教委員長から報告が行われた。服部氏は、ハラスメント防止の趣旨は理解するとしながらも、「あらゆる」という文言を問題視し、委員会では反対多数であったと説明。今後の議論は議会運営委員会に委ねるとした。請願の討論および採決は、請願の採択に反対との委員長報告に対して賛成か反対かで行われた。

 ハラスメント防止条例に賛成する市議4人が次々と発言し、元八女市職員で、議会運営委員会委員長を務める川口誠二氏は「八女市は、人権都市宣言を行っており、部落差別をはじめとするあらゆる差別の撤廃を目指す人権擁護条例もある。請願に反対することは矛盾する」として、請願を採択したうえで条例案の中身を議論すべきと訴えた。

 結果的には保守系の大半や公明党の反対により1票差で請願は否決されたが、公明党の機関紙『公明新聞』12月2日号には、厚生労働省が定める「職場のハラスメント撲滅月間」が紹介されており、請願の反対に整合性があるのか疑問が残る。

 八女市在住の公明党支持者は「人権や平和を掲げる党の理念と、請願の反対が矛盾している」と語った。また、別の八女市民からは「地元紙(西日本新聞)も報道しておらず、知らなかった」と述べ「社会の流れに逆行する動きは残念すぎる」との声もあった。

 議会関係者は「一部採択とか妥協を探る動きもあったが、委員長の頑なな姿勢で否決された。八女市の人権意識が全国で誤解されることを危惧している」と述べ「議会としてハラスメント問題の動きは後退するだろう」と語った。

 請願の討論が行われたのは、12月定例会初日。新たに市長に就任した簑原悠太朗氏の所信表明が行われたこともあり約50席の傍聴席は満席で、議場の外にあるモニターやインターネット中継を見た市民も多かった。今後の市議会の動き次第では、旧態依然とした議会の在り方に疑問を抱く市民が増えていくのは間違いないだろう。

【近藤将勝】

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