2025年01月09日( 木 )

福岡再開発2025 博多コネクティッド本格化へ(後)

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博多駅前三丁目プロジェクト

 博多駅前3丁目では、中央日本土地建物(株)による「(仮称)博多駅前三丁目プロジェクト」が進んでいる。

(仮称)博多駅前三丁目プロジェクト
(仮称)博多駅前三丁目プロジェクト

    同プロジェクトは、他の再開発のように既存の建物をすべて取り壊して新たな建物を建てるのではなく、従前にあった「YJカード本社ビル」の躯体を一部再利用するのが最大の特徴。建物は地上13階・地下2階建だが、地下部~地上2階の既存躯体を新築建物に再利用することで、解体時および新築時のCO2排出を大幅に削減する環境配慮型の免震オフィスビル計画となっている。1階ピロティ広場は周辺の緑や賑わいをつなげるとともに街の回遊性の向上にも寄与し、博多コネクティッドをはじめ、福岡市が推進する「都心の森1万本プロジェクト」および「Fukuoka Art Next」の取り組みを実施することで、博多駅周辺地区の国際競争力向上に貢献していくとしている。

 同ビルも23年8月に博多CBの認定を受け、23年9月に着工。25年6月の竣工を予定している。

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 博多CBの認定を受けたうえで現在開発が進んでいるプロジェクトは前出の2つだが、エリア内ではほかにも再開発の動きがある。

 たとえば22年3月にJR九州が事業着手を発表した「博多駅空中都市プロジェクト」は、博多駅線路上空に新たな“都市”をつくるもの。開発するビルのコンセプトは、国際ビジネス都市・国際観光都市に相応しい機能を備えた最先端複合ビルで、線路上空という高い利便性の立地を生かし、施設用途としては最先端オフィスやラグジュアリーホテル、商業店舗などを想定。竣工は28年末を予定している。

博多駅空中都市プロジェクト
博多駅空中都市プロジェクト

    ほかに、まだ具体的な建替え計画が公表されておらず、博多CBの認定も受けていないが、博多駅前1丁目の博多新三井ビルディング(74年11月竣工)、博多駅前2丁目の福岡センタービル(72年3月竣工)、博多駅前3丁目の日本生命博多駅前ビル(74年11月竣工)などのビルでも建替えが検討されているという。

 これらのビルは、63年12月に博多駅が現在地に移転・開業した後に、駅周辺の都市化を進めるべく福岡市が制定した「ビル誘致条例」(67年10月制定)によるインセンティブや、博多までの新幹線開通(75年3月)などを受けて、同時期に建てられたもの。いずれもすでに築40年以上が経過して更新期を迎えており、博多コネクティッドを活用して今後再開発に踏み切る可能性は十分考えられる。

 さらに、再開発とは少し毛色が違うものの、前出の「西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト」のすぐ裏手では、弊誌でも過去に何度か取り上げたようにPark-PFIを活用した「明治公園」の再整備が始まろうとしている。優先交渉権者となった東京建物(株)を代表とするグループの提案では、公園敷地目いっぱいに広がる立体的・複合的な魅力あふれる空間デザインがなされており、施設内に張りめぐらされた「立体回廊」のほか、屋上部分には「5つの広場」などを配置することで、樹木と建築とが混然と一体になった新たなランドマークとなっていく計画となっている。現在、すでに公園自体が閉鎖されてリニューアル整備が着工しており、今後25年春以降の順次供用開始を予定している。

(了)

【坂田憲治】

(前)

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