消費税率5%が最重要なわけ

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「財政政策でもっとも有効であるのが消費税減税で、まずは消費税率を5%に戻すことが適正である」と論じた2月5日付の記事を紹介する。

 2月4日の衆議院予算委員会で石破茂首相と植田和男日銀総裁の答弁に齟齬が生じた。立憲民主党の米山隆一議員が質問。現在の日本経済はインフレであるのかデフレであるのか。植田日銀総裁は「現在はデフレでなくインフレの状態にあるという認識に変わりはない」と答弁。

 これに対して石破首相は「日本経済はデフレの状況にはない。しかしながらデフレは脱却できていない。いまをインフレと決めつけることはしない」と答弁した。

 日本の消費者物価指数上昇率推移は以下の通り(前年同月比:%)。
     総合  エネルギー&生鮮食品を除く 生鮮食品
2022年  2.5       1.1        8.1
2023年  3.2       4.0        7.4
2024年  2.7       2.4        7.0

 生鮮食品は2021年から24年の3年間で24.2%上昇した。23年のエネルギーと生鮮食品を除く総合は4.0%上昇した。この状況を見て「デフレから脱却できていない」「インフレと決めつけない」と発言するのは異常。石破首相は経済金融に疎いようだ。自分の言葉で話していない。背後で操っているのは財務省だと思われる。

 2023年の「生鮮食品とエネルギーを除く総合」上昇率は4.0%。中央銀行が最も重視するべきインフレ指標は「生鮮食品とエネルギーを除く総合」。これが年平均で4.0%上昇。月次では4.3%まで上昇した。これをインフレと呼ばずに何と呼ぶのか。

 日銀の責務は物価安定。物価安定が損なわれれば、物価安定を実現するために行動しなければならない。黒田東彦氏はインフレが進行しているのにインフレ推進を維持し続けた。日銀総裁が植田和男氏に交代して、初めて政策修正が実行された。

 誰がインフレ亢進を望んでいるのか。答えは明白だ。財務省である。財務省にとってインフレは福音である。インフレが進行すると政府債務の実質残高が減少する。税収70兆円、政府債務1,000兆円の仮定を置く。債務は税収年額の14年分。物価が10倍になるインフレが生じたとする。税収は700兆円に膨張する。すると政府債務は税収年額の1.4年分になる。借金がほぼ消滅する。

 インフレ進行で国税収入は実際に急増した。2020年度の一般会計国税収入は60.8兆円だった。23年度の一般会計国税収入は72.1兆円に膨張。3年で11.3兆円の税収増が発生した。

 財務省がインフレ誘導政策を主導している。このからくりを石破首相が認識していない。

※続きは2月5日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「消費税率5%が最重要なわけ」で。


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