2024年12月23日( 月 )

九州地銀の15/9月期(中間)決算を検証する(8)

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九州地銀金融再編を占う(1)
 来年10月を目処に西日本シティ銀行グループは西日本FG(仮称)を組成する。これにより九州を本拠地とするFGは三つとなる。
1.ふくおかFG(地銀2+旧相互銀行)
◆第一地銀 福岡銀行・親和銀行(九州銀行 ―旧九州相互銀行― を含む)
◆第二地銀 熊本銀行(旧熊本相互銀行+旧肥後相互銀行)。社長を派遣し傘下銀行の福岡中央銀行(旧正金相互銀行)

2.九州FG(地銀2)
◆第一地銀  肥後銀行・鹿児島銀行
3.西日本FG(旧相互銀行5行)
◆第二地銀 西日本相互銀行は高千穂相互銀行(宮崎市)を救済合併し普銀転換
 ・福岡シティ銀行(旧福岡相互銀行)を救済合併
 ・長崎銀行(旧長崎相互銀行)を100%子会社
 ・傘下の豊和銀行(旧豊和相互銀行)
 さて、これからグループに属していない第一地銀5行と第二地銀3行が今後どのような動きを見せるのか、これからその行方を大胆に予想していくことにしたい。
第一地銀
 第一地銀であってもボリュームに大きな差がある。しかしたとえボリュームは小さくても第一地銀としての自負があり、「類は類を呼ぶ」道を選択する可能性が高いと見られる。

◆筑邦銀行
 本店は久留米市。第一地銀64行中、富山銀行の次に規模が小さい。戦後に設立された地銀のため店舗も44と少なく、その殆どは福岡県内の店舗(県外3)となっており、福岡銀行及びその傘下の福岡中央銀行と競合。同様に西日本シティ銀行とも競合しており、今後単独で生き残ることは厳しい状況にある。そのため共同システムを通じて親しい関係にあることや店舗の重複が少ないことなどから、九州FGとの経営統合を目指すものと思われる。

◆佐賀銀行
 佐賀銀行の総店舗数は103か店のうち、佐賀県内の支店は61か店。隣接する福岡県・福岡市に38か店とそのウエイトは高く、福岡銀行や西日本シティ銀行とまさに競合している。筑邦銀行と同様な関係にあることから九州FGとの経営統合の道を選択するものと推測される。

◆十八銀行
 同じ長崎県にある親和銀行はふくおかFGの傘下。また西日本シティ銀行の100%子会社である長崎銀行とも競合している。筑邦銀行・佐賀銀行と共同システムを通じて親しい関係にあり、三行で新たにFGを設立する可能性も残っている。しかし西日本シティ銀行の谷川浩道頭取がFG設立を表明したことからもはや時間的な猶予はなく、三行が足並みを揃えて九州FGと経営統合する
可能性が高いと思われる。

◆大分銀行
・九州の覇権をめぐって大友宗麟率いる大友軍は1578年(天正6年)島津領に侵攻。 迎え撃つ島津義久率いる島津軍と激突し大敗(耳川の戦い)。9年後島津軍と戸次川の戦いで再度敗北し、大友氏は衰退していく。「日向後家」の名が生まれるなど歴史的な因縁も含めて、九州FGへの参加には大きなハードルがある。また地元で競合する豊和銀行は西日本シティ銀行の傘下にあり、観光産業や企業誘致など経済的な繋がりや地政学的な面を考慮すると、ふくおかFGとの経営統合を決断する時季を迎えているようだ。

◆宮崎銀行
・西日本シティ銀行は高千穂相互銀行(宮崎市)吸収合併したことから宮崎県内に多くの支店があり、宮崎銀行と競合関係にある。ふくおかFGとの経営統合の道も残されてはいるが、島津の支配地域であったことから地縁・血縁関係が深いことや西南の役で西郷隆盛(南洲翁)のために鹿児島勢と共に戦うなど、歴史的な背景などから九州FGとの経営統合を選択するものと思われる。


(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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