2024年11月25日( 月 )

中国経済新聞から学ぶ~習政権の「反腐敗」で日系車販売拡大

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 中国経済新聞は、2001年に創刊された、日本初の本格的な中国経済情報専門紙。今回は習政権が掲げる官僚の「反腐敗」政治によって、公務員が一斉に日本車に乗り換える可能性を大胆に予想している。

 中国国務院の曽培炎元副総理が中国の著名企業の経営者50人余りを引き連れて来日、12日東京で、日本の企業経営者と対話会を行った。ここでは日中の経済合作問題について意見を交換した。安倍首相は歓迎会に出席して、両国の経済界と企業界の対話を強化し、さらにこのような会合を定期化して、両国経済交流と合作を拡大することを希望した。
 中国の代表団の中には、東風汽車董事長の徐楽江氏、東方航空総経理の劉紹勇氏ら大型国営企業のトップや、三一重工総裁の向文波氏や吉利汽車董事長の李書福氏ら民営企業のトップが顔を揃えた。これは日中国交正常化以来、中国が派遣した訪日団の中でも最大規模の顔ぶれだ。

 12日午前に行われた日中企業経営者の対話の中で、曽培炎氏は、日中両国経済の合作はいまだかつてない困難に直面しており、歴史は逆行できない中、両国の企業経営者は力を合わせて両国合作の黄金時代を築かなければならないと語った。
 さらに「今後5年間、中国経済は6.5%の成長率を保持することは可能で、両国経済の合作の余地は依然として大きい」とも述べた。そのため日本企業に対中投資の断続を呼びかけ、特に双方とも、地方の都市化、製造業のレベルアップ、省エネ環境保護、インフラ、高品質の消費などの領域で新たなビジネスチャンスがあり、日中、日中韓FTAではともに、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」を構築し、グローバル経済の管理で合作を強化すべきと提案する。

 日本経済団体連合会の榊原定征会調も対話会で、「日中両国は一衣帯水の隣人で、更なる通商の拡大と投資、技術の面で合作を希望する。新たな状況の中、両国は産業競争力の強化という共同の課題に直面し、新たな合作モデルを求める重要な時期にある。双方は共に発展し、経済貿易で実務的な合作強化に着目すべきである。両国経済の健全な発展促進のために、日中の平和的共存、互恵互利に貢献すべきだ」と述べた。

 午後の分科会では、メディアの取材が禁止された。中国経済新聞が最も注目したのは、日中両国の自動車産業の合作だ。トヨタ自動車の内山田武代表取締役会長と東風貴社の竺延風董事長は共に内部の会議に参加したが、どのような討論をしたのだろうか。竺董事長は中国経済新聞の取材に対し多くは語らなかったが、中国経済は失速しているとはいえ、自動車市場は依然として好調で、全体として上昇基調にある。特に日本車は中国市場で発展する絶好の時期にあり、新しい購買熱が起こりつつあるという。

 竺董事長によれば、2015年に入り中国政府では、公用車の廃止という最大の改革が実施されている。中央は副部長や副省長クラス以上の幹部にのみ公用車が許可されているという厳格な規定となり、それ以下の幹部は使用できない。「都市交通の発達が不十分な状況で、政府の公用車の廃止によって、多くの幹部は自家用車を購入して出勤しなければならない。その数は巨大だ」と強調する。

 清華大学国情研究センターの試算では、中国には公務員が1500万人おり、実際に工務員の仕事に従事している人は4000万人いるが、これには国有企業の幹部は含まれない。そのうち副課長以上の待遇(公用車使用可能)を受けているのは700万人。この700万人が今年公用車廃止の問題に直面している。自家用車を持つ人を除外しても、少なくとも500万台の車が必要となる。

 現在反腐敗運動のピークにある。そのため官僚が自分で車を購入するとしても、アウディやベンツ、BMWなどの高級車を購入することはできず、かといって軽自動車ではメンツがない。そのため20~30万元(約400~600万円)中級クラスの車が人気となる。以前公用車ではガソリンも経費として計上できたが、自家用車ではすべて個人負担となる(政府は職位により800~3000元=1万5200円~5万7000円の補助がある)。価格帯の中では省エネの日系車は官僚たちから人気となる。

 竺董事長はさらに、日系車の中でホンダと日産は東風集団と合作の車型で、今年1~10月の販売量は好調で、中でもホンダは去年同期比で33%増、77万台となり、日産も98万台に達したことを明らかにした。外資系自動車の販売が減少する中、日系車だけが1~10月、去年同期比で7.5%増、シェアも15.7%となったという。竺董事長は、中国の反腐敗運動が日系車にビジネスチャンスを与えたが、日系車も官僚向けに高級感のある車の販売が必要になると指摘する。

 日中企業経営者の対話会で、安倍首相はこの対話会の定期化を提案したが、曽培炎元国務院副総理も、政府と民間双方の定期的交流会により、両国関係の改善、産業合作促進の重要なルートになると考える。自動車産業を代表として、両国産業の技術合作が今後の日中経済合作の主流になるだろう。

 日本経済新聞は、「より多くの中国人に日本を気に入ってもらうためには、観光客の受け入れ能力をソフト・ハード面から向上する必要がある。例えば中国人観光客にも日本で車の運転ができるようにするなど、関連制度にも変革が必要」と指摘している。
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