再生医療を行う(医)聖慈会(福岡市中央区)に厚労省が改善命令
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5日、厚生労働省は医療法人聖慈会(福岡市中央区、深松建史理事長)の福岡MSC医療クリニックおよび福岡MSC医療クリニック細胞培養センターに対し、同クリニックが複数の法令違反を行っていたとして、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づく改善命令を出したことを発表した。
再生医療提供計画の未提出や無届治療が発覚
発表によると、聖慈会は再生医療を提供する際に必要な計画の提出を怠るなどの法令違反を繰り返していた。とくに、以下の医療行為において計画が未提出または無届けの期間があった。
未提出
自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた肝障害治療の副作用抑制(通称:むくみ)
無届提供
自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた膝関節治療
自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた肌再生治療これらの医療行為は事前に計画を提出し、適正な基準の下で提供されるべきものだったが、同クリニックは行っていなかった。また、その他にも、救急医療体制の不備、細胞加工や品質管理の不徹底、記録の作成・保存の不実施、疾病等の発生報告義務違反などといった多くの違反が確認された。
厚労省はこうした違反行為を重く見て、(医)聖慈会に対して、事前の計画提出と基準遵守の徹底や、安全管理の体制強化などを含む改善命令を出した。
国際幹細胞学会も再生医療の現状に懸念
近年、再生医療は美容や難病治療の分野で注目を集めているが、適正な手続きを経ずに提供されるケースが後を絶たない。
世界各国の再生医療の医師や研究者などが所属する「国際幹細胞学会(ISSCR)」も、国の承認を受けていない再生医療が美容やけがの治療などを目的に自由診療として数多く行われている現状では、患者の安全が懸念されるとして、厚生労働省に対して、治療計画の審査の監督を強化するよう求める声明を公表している。
今回の改善命令は、再生医療を提供する医療機関の法令遵守の重要性を改めて示すものとなった。再生医療の信頼性構築に向けた取り組みの強化が早急に求められている。
聖慈会の直近決算
(医)聖慈会の直近2024年4月期の決算概要を見ると、業績面では事業収益1億6,821万円、当期純利益として1,918万円を上げているものの、財務面では同期末で2億1,974万円の債務超過となっている。
【寺村朋輝】
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