福岡県知事に服部氏が再選~広がらなかった与野党相乗り批判
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任期満了にともなう福岡県知事選は、23日投開票され主要国政政党の支援を受けた無所属現職の服部誠太郎氏(自民・立憲・国民・公明・社民・県農政連推薦)が、無所属新人で弁護士の吉田幸一郎氏(共産支持)ら3人を破り再選をはたした。
7割近い有権者が投票を棄権
投票率は31.58%で、過去最低だった前回(29.61%)より上昇したものの、7割近い有権者が棄権したことになる。要因の1つとして、自民党から立憲民主党まで相乗りで、連合福岡や福岡県医師会など100を超える各種団体が応援する現職と、共産党やふくおか緑の党の一部革新系が支持する新人による事実上の一騎打ちという構図が、一般県民の投票意欲を惹きつけるには至らなかったことが挙げられる。
支援者から花束を贈られた服部氏 福岡市博多区にある服部氏の事務所には、与野党の国会議員や県議会議員、自治体首長、各種団体関係者など約300人が詰めかけた。午後8時の投票終了と同時に「当選確実」が伝えられると、事務所内は大きな歓声で沸き立ち、支援者がスマホで服部氏を撮影していた。服部氏は応援した議員や支援者と握手して、当選を喜び合った。
後援会を代表して横倉義武元日本医師会会長があいさつに立ち、「県内すべての市町村を回り、多くの人の意見を聞き、今後の県政に生かしてくれると思う」と述べたうえで「それぞれの団体や企業の皆様方も福岡県の未来、子どもたち、孫たちに繋いでいくための福岡をさらに発展へと繋いでいただくことを心から感謝申し上げます」と語った。
服部氏は「福岡県民の皆様、私をご信任いただき誠にありがとうございます」と感謝の言葉を述べ「今、私たちの前に、さまざまな課題が横たわっております。この課題から逃げることなく、真正面からぶつかっていき、これを乗り越え、福岡県の飛躍発展を導き出してまいります」と決意を語った。
人材育成を県政の中心に
報道陣の取材に応じる服部氏 当選報告会後、報道陣の囲み取材が行われた。その際、ワンヘルス政策や与野党相乗りについて複数の質問が投げかけられた。
「一部の県議への忖度ではないかとの疑念の声がある」「どのように払拭していくのか」との質問に対して服部氏は「県議会との関係は二元代表制で必要なことだ」と述べたうえで「公明正大な議論を行っていく」と語った。
また産業振興の基本となる人材育成について「産業の発展は人を育てることにある」と述べ「中小企業や農業も人を育てていきたい」と強調した。
服部氏は選挙戦において、企業誘致による雇用創出や災害対応など、1期目の実績を訴え、中小企業の賃上げ促進や人材育成を進めていくことをアピール。小川洋前知事時代は対立していた高島宗一郎福岡市長も応援に駆け付けるなど「チーム福岡県」で取り組んだ。
地域格差など課題は山積
一方、吉田氏は40代の若手であることをアピールし、ワンヘルス政策への批判や最低賃金引き上げなどを掲げて支持を呼びかけたが、出馬表明の出遅れもあり、浸透させることができなかった。
かつては社会党・共産党による革新知事を誕生させた福岡県だが、投開票日と同日に葬儀が営まれた麻生渡元知事(1995~2011年)以降、一時期を除いて共産党以外「オール与党」「与野党相乗り」の構図が続いてきた。
「国政と地方政治は違う」(福岡県政関係者)という言葉通り、国政では対立する自民と立憲が福岡県政では協力し合い、県政運営が進められてきた。
福岡県は2つの政令市を有し、九州のリーダーとして九州圏域の経済成長や観光などを牽引していく役割が期待されている。一方で「福岡市一極集中」が進み、福岡都市圏以外では人手不足やバス・鉄道など交通インフラの維持が深刻となっている。服部氏が強調した「九州や日本のリーダー県」の役割をはたしていくうえで、地域格差や世代間ギャップをどのように埋めていくのか、これからその真価が問われることになる。
福岡県知事選結果
〇服部誠太郎(無所属・現)103万6,280票 当選
〇吉田幸一郎(無所属・新) 20万9,416票
〇新藤伸夫 (諸派・新)2万7,952票
〇藤丸貴裕(無所属・新)2万7,394票【近藤将勝】
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