偏向メディアの“風を読む”

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は「〈維新〉〈国民〉〈立民〉を完全に捨てて、真の野党=〈改革勢力〉〈革新勢力〉支援に全力を注ぐことが最重要だ」と訴えた3月26日付の記事を紹介する。

 メディア報道の背後には〈意図〉が存在する。その〈意図〉を読みぬかないと〈誘導〉される。〈誘導〉することが〈意図〉であるとも言える。

 いくつかの事例を挙げてみよう。米国では大統領選挙を経てトランプが大統領に就任した。トランプは2017年と2025年の2度にわたり大統領に就任した。米国が支配力を持っているなら米国の大統領を絶賛するのが順当。しかし、主要メディアの報道は違う。トランプに対するネガティブな報道が主流だ。

 〈デジャブ〉を感じた人が多いだろう。2009年に誕生した鳩山由紀夫内閣。ぶっちぎりの衆院選大勝で政権を樹立した。国民の熱狂的な支持では2001年発足の小泉純一郎政権を凌駕したと言ってよい。ところが、メディアの対応には天と地の開きがあった。

 小泉絶賛報道が展開された一方、鳩山首相に対する報道はネガティブ一色になった。日本政治では2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任した時点から、著しい偏向が顕著になった。メディアが総力を挙げて小沢一郎氏を失脚させるために奔走した。

 2007年の大連立構想、2008年春の日銀人事、2008年秋の民主党代表選で小沢氏の影響力を排除するための工作活動が展開された。小沢氏はこれらの攻撃をかわして総選挙が実施される2009年を迎えた。

 順当に推移すれば2009年に小沢一郎内閣が誕生していたはずだ。私は2008年末に西松建設に関する問題が取り沙汰された際に、その延長線上で小沢一郎氏攻撃が行われることを警告した。警告は的中し、2009年3月3日に西松事件が噴出。小沢氏の公設第一秘書が突然逮捕された。西松事件は翌年1月に陸山会事件に姿を変えたが、小沢氏の影響力を排除することを目的に実行された政治謀略だった。

 2009年3月、小沢氏は総選挙への悪影響を懸念して代表を辞した。メディアは岡田克也氏を後継代表に就任させようと躍起になったが叶わず、鳩山由紀夫氏が後継代表に就任。2009年8月30日の総選挙を経て鳩山由紀夫内閣が樹立された。日本の国民が自らの意思で新たな政権を樹立した画期的な金字塔だった。

 鳩山内閣は日本政治刷新の方針を示した。米国、官僚、大資本が支配する日本政治を根底から刷新しようとした。当然のことながら、これまで支配権を有してきた既得権勢力は強烈な拒絶反応を示した。

 鳩山内閣に対するメディア総攻撃が展開されたのはこれが背景。日本政治に対する支配権を有する既得権勢力は小沢-鳩山政権樹立を阻止しようと懸命な活動を展開した。そのために力が注がれたのは〈チームB〉創設である。

 自公の既存勢力に対する批判は時間の経過とともに拡大。金属疲労を止める手立てはない。その流れが〈革新政権樹立〉につながることを防がねばならない。斬新に見えるが、実態としては既得権勢力のコントロール下にある〈新勢力〉創設が試みられてきた。

※続きは3月26日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「偏向メディアの“風を読む”」で。


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