矢田稚子・首相補佐官退任へ~男女格差是正に消極的な印象を与える恐れ

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女性活躍の意見取りまとめを提出する矢田補佐官
女性活躍の意見取りまとめを提出する矢田補佐官

 石破茂首相が矢田稚子首相補佐官を退任させる方針を決めたことが分かった。28日に正式に決まるとみられる。

 矢田氏は松下電器産業(現・パナソニック)の元社員で、労働組合「電機連合」(連合系)の組織内議員として国民民主党の参議院議員を務めた。岸田文雄前首相が2023年9月に首相補佐官に起用し、石破政権でも続投していた。

 主に賃金・雇用政策や女性活躍などを担当し、男女間の賃金格差の是正などに尽力してきた。補佐官として男女の賃金格差解消のためのプロジェクトチームの座長を務め、26日には格差解消策を盛り込んだ報告書を石破首相に提出していた。

 また選択的夫婦別姓に賛成の立場で、昨年3月に有志の企業経営者らが参議院議員会館で開催した選択的夫婦別姓の早期実現を求める会合に出席し「私は当事者でもあり、法制審の答申から28年。『なんでできないのやろうか』という思いしかありません。ビジネス界でこれだけの声が上がったということが、私は画期的なことだと思います」とあいさつしていた。

 今回の矢田氏の退任について「年収の壁論議で国民民主としっくりいかなかったことが大きいだろう」(永田町関係者)との見方がある。岸田文雄前首相や、麻生太郎最高顧問が矢田氏を起用した理由は国民や支持労組との関係強化の思惑があったとされる。

 今回の矢田氏の退任は、国民民主党との距離を詰めることや、男女格差の是正に消極的な印象を与える恐れもある。

【近藤将勝】

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