玄海原発再稼動へ動き本格化、市民ら「九電は住民説明会開催を」
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原子力規制委員会が、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)3号機、4号機の新規制基準適合性審査を約11カ月ぶりに再開し、再稼動へ向けた動きが緊迫してきた。
「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)は11月26日、「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」(野中宏樹共同世話人)と共同で、佐賀市議会に対し、九電が原発再稼動について住民説明会を開くよう求める陳情書を出した。11月30日以降、他市町議会にも陳情する。10月には九電、佐賀県知事に対し住民説明会開催を要請している。
みんなで止める会226人が追加提訴
福島原発事故を忘れたかのように、川内原発1号機、2号機(鹿児島県薩摩川内市)再稼動に続き、九州で再稼動ラッシュの事態も想定される。
「原発は、命の問題だ」。みんなで止める裁判の会の原告・支援者らの、原発再稼動を阻止する決意は揺るがない。玄海原発全基差止を求める訴訟では、10月30日に226人が佐賀地裁に追加提訴した。再稼動へ向けた審査が再開された11月20日、佐賀地裁では、「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)が取り組んでいる玄海原発の全基運転差し止め訴訟や運転停止命令義務付け行政訴訟などの口頭弁論があった。
福島の被災者「赤ちゃんを育てられる土地ではない」
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会の原告、弁護団、支援者ら口頭弁論で、福島県郡山市の橋本あきさん(60)が意見陳述した。孫が生まれ娘の帯明けからまもなくの時に東日本大震災が起きた。原発事故後、自宅の中で平均1時間あたり0.3μSvの放射能が測定され、「赤ちゃんをこんな異常な土地で育てることは許せない」と、娘と孫を福岡に避難させた。今も異常な日常生活が続く。「今でも除染が各地で行われているが、いまだに放射性物質が入れられたフレコンバッグはそのまま街のあちこちにただ置かれている」と言う。
橋本さんは「想像してください。洗濯物やふとんは外に干せない、外出するときはマスクをする、靴は帰宅の度に底を洗う、窓は閉め切る、換気扇や掃除機は使わない、極めつけは、子どもは外で遊ばせない、などなどの指示が発せられることを」と警告し、「第2のフクシマを作ってはならない」と訴えた。石丸初美代表は取材に対し、「フクシマの犠牲は、日本の政治のごまかしを国民に教えてくれた。国策のために放射線管理区域レベルで生活させられている。経済と天秤にかけられる問題ではない。危険な作業や工場はほかにもあるし、100%安全はないのであって、飛行機だって墜落することがある。単に危険だから反対しているのではない。放射能という人類の命にかかわる問題だからだ。再稼動は正気の沙汰ではない」と話し、「川内原発が再稼動されたが、まだ事故は起こっていないから遅くない。まだ止められる。原発は人が動かしている。人と話して、理解してもらうのが本当の運動だ」と、原発を止める熱意を語った。
裁判では、原告側は、技術論争に真正面から挑み、基準地震動の過小評価による炉心溶融事故の恐れや、一次冷却材流出事故につながる配管のひび割れの見逃し、炉心溶融事故後の対策の違法・欠陥による水素爆発の危険、核燃料サイクルが破綻し行き場のない使用済み核燃料廃棄物の問題をあげて、「安全性が確認されない原発の運転は許されない」としている。
11月28日、玄海原発事故想定し防災・避難訓練
11月28日には、九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の事故を想定した防災・避難訓練が、佐賀県、福岡県、長崎県の共同で実施される。避難経路、避難者のスクリーニング(放射性物質による汚染を持ち込まないようにする検査)、ヨウ素剤の配布など多くの課題が未解決だ。みんなの会は、「避難計画は現実には無理だ」「避難計画は被ばく計画」だという実態を明らかにするため、訓練を見学する計画だ。
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